いかないで ページ5
バシャバシャと車が通る度に飛び散る水
傘もささずに大粒の雨が降り注ぐ交差点で赤信号を眺めるわたしを、変なものを見る目で見て通り過ぎて行く人達
そりゃそうだ、朝から、なんなら昨日の夜からテレビに映るお姉さんが『明日は大雨です。傘を忘れずに持っていきましょう』と言っていた
それを知っていて傘を持ってこなかった
だからこんなことになってるんだよね
消して綺麗とは言えない景色
目を開けていると睫毛に乗った雨水が目の中に入り込んでくる
水溜まりを勢いよく駆け抜けて行ったトラックの横を歩くわたしには泥水が頭の上から降り注ぐ
さすがにこんな大雨の中は来ないか
今日こそ実行かと他人事のように思って坂道を登る
流石に他人に迷惑はかけられないから1人になれる場所でやりますよ
幾らそこに材料があったとしてもね
車通りが少なくなって、民家の明かりも点々としてきた
強く打ち付ける雨は止むことを知らないかのように振り続け、私の肌を濡らしていく
防水加工がされていないスマホを躊躇いなく取り出して、自分のアカウントに表示されているストーリーの閲覧者を見る
そこには確かに彼のアイコンがあった
でもわたしのストーリーに写っているのはただの空だから、分かるはずもないのだ
そう思って気づいた
わたしは灰くんに見つけ出してもらうことを望んでいるんだと
サーっと何かが自分の中から消えていく音がした
嫌になって直ぐにストーリーを削除する
このままここで消えてしまっては良くないと直感で思った
今ここでしようとしていたことに対する憎悪なのか、実行しようとしていた自分に対する憎悪なのか、
とにかく気持ちが悪いこの胸をどうにかしたくていまさっき登ってきた坂を下る
もう夜遅い時間だけど、何時に家の玄関を開けても咎める人はいない
それをいいことに遠回りをして帰った
途中で声をかけてくれた人は、誰もいなかった
こんな時間に、交番の前を通ったのに
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 33人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
めろんぱん(プロフ) - ののんのさん» コメントありがとうございます！無事完結させることができました。応援ありがとうございました🙇♂️ (2022年9月4日 22時) (
レス) id: 76b5c4bb1a (このIDを非表示/違反報告)
ののんの(プロフ) - 作者様の書くお話好きです！！更新頑張ってください！ (2022年8月31日 2時) (レス) id: 5b7085a619 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：めろんぱん | 作者ホームページ：https://twitter.com/meronpann_yume
作成日時：2022年7月28日 21時
