魔法帝と姫【1】 (ページ7)

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「お久しぶりです、王族一同の食事会以来ですね。ノゼルさん」

ぺこりとお辞儀をした。思わず、スカートを持つ手振りをしそうになったのは言うまでもない。

「ああ」と短い返事を返し、直ぐに踵を返した。相変わらずどう接したらいいのかわからない人だ、と思いながらその背中を見つめる。

しばらくすると「すまないが私は忙しい。他の者に案内させる」と言って最後にユリウスにぺこりと頭を下げて、行ってしまった。

「やっぱり魔法騎士団団長は多忙だね。どこかの誰かさんと違って」と案内人が来る前に一言もらす。「まあこんな魔法帝だし仕方ないか」と言うとユリウスは「酷いなぁ～」と泣き真似をした。

＊

見回っているとネブラさんも見つけた。基本的にシルヴァ家は取っ付き難いというか喋りずらいというか……。

もう一つの王族のヴァーミリオン家は暑くてマシンガントークは多々あるけど(一部の人)まあ喋れるし。

でも一応挨拶しないといけないな、と溜息をつき「ネブラさん」と声をかけた。さすがに"様"は堅苦しいと言うか…あんまり使い慣れてないというか。

｢あら、(多分)少し背が伸びたわね」

妹にもこんなふうに接したらいいのに、と思ったがそれは口には出さず｢まだまだ成長期ですから｣と愛想笑いをした。

｢それより身体は大丈夫かしら。重い病にかかったと聞いたわ｣

｢…はい。オーヴェン先生が居ましたからなんとか大丈夫でした｣

｢身体には気をつけてね。今の状態で精霊がついているのだから魔導書を持った時が楽しみだわ｣

口元に手を当ててフフッと笑うネブラさん。

シルヴァ家の次女”ノエル・シルヴァ”は魔力の操作(コントロール)がろくに出来ず馬鹿にされている。基本的に王族は努力を馬鹿にする。それは下民や平民がやることだと…。
ネブラさんは何度か｢貴女が妹だったら…｣と私と話している時に漏らしている。その時はだいたい愛想笑いで乗りきった。

｢私なんてネブラさんには敵いませんよ。それではそろそろ案内人が来ると思いますので失礼します｣

ニコッと笑ってお辞儀をする。

｢ええそうね。…騎士団に入るのなら銀翼の大鷲にきてね。歓迎するわ｣

｢はい。考えておきます｣

ネブラさんはそう言って去って行った。
ほとんど空気になっていたユリウスは寂しそうにこちらを見ていた。私はそれを無視してやっと来た案内人の後ろについて行った。