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ユリウス「…うーん。本当にその格好で行くのかい?」
髪は雑に切ったショートに服は真っ黒。傍から見たら男の子だろう。まあ全部魔法でいじってるだけなんだけど。
「まあいいでしょ。容姿まではバレてないし、誰もお姫様がこんな格好なんて思わないでしょ?」
ユリウスは苦笑しながら「まあそうだけど」と言った。
ユリウス「あ、そうそう。今から魔法騎士団に行くけど団長達には君が姫だって伝えてあるからね。他の人は知らないからちゃんと皆と同じように接するんだよ」
「他の人…同じように…?つまり敬語で喋るの?」
ユリウスは扉を開けて「そうだよ」と言った。私は何も言わずにユリウスについて行く。敬語なんて使ったことないし、皆の同じが分からないな。まあ、務めるとしよう。
*
「そういえば表向きの名前は?」
ユリウス「うーん、A・ノヴァクロノとか?」
私は無言でユリウスの足を蹴った。そして無言の圧力を加えると「冗談だよ」と笑った。
「ひとつ目の理由」
人差し指を立てて話を続ける。
「魔法帝の娘でも目立つ」
次に中指を立ててピース。
「それともちろん、恥ずかしい」
ユリウス「えぇーー!」
「恥ずかしいって何だい?!」とユリウスが詰め寄る中「それならとことん偽名がいい」と無視して言った。
ユリウス「姫はワガママだなぁ…」
「……」
しかめっ面をしたつもりは無いけど、ユリウスは何を思ったのか「冗談だよ」と付け足した。
「キーラでいいよ。A・キーラ。考えるのめんどくさいし」
ユリウス「ほとんど同じじゃないか」
そんなことを言ったユリウスに向けて人差し指の上に水の玉を作り出しながら圧をかけた。
ユリウス「いい名前だね!」
水をなくし、また歩き出す。まだ城も出られてない。
それからとてつもなく長い一日が続いた。
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作者名:ゆき | 作成日時:2019年1月20日 18時