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ユリウスは深くため息を吐いて、綺麗になった部屋の椅子に座った。私はベットでゴロゴロしながら本を読んでいた。
ユリウス「やっとまともに話ができるようになったよ」
「まとも、ねぇ。……まあ まともかもね。初めてちゃんと大人と喋るよ」
ユリウス「もう水で流される事もないんだねぇ…。毎日服を乾かすのがちょっと大変だったよ」
しみじみと言うユリウスに指の先に水の玉を作りながら「まあ今でも出来るけど」と言うと苦笑しながら頭をかいた。
ユリウス「まだ信頼はそれほど築けていないかな?」
「そんなことないんじゃない」
ボソッと言うとそれに気づいたのか分からないユリウスはフッと微笑んだ。
*
「で、要件は?」
ユリウス「…そうだね。単刀直入に言うよ。
……魔法騎士団の見学に来ないかい?」
長い沈黙の後、私の口からは間抜けな声が出た。
「は?」
ユリウス「私も予定を合わせて案内するから」
訳の分からないことを言うユリウスにポカンと口を開け、読んでいた本を栞を挟まずに閉じてユリウスを凝視した。
「だって私一応姫だし」
ユリウス「それは大丈夫。魔法騎士団だし、姫がいるってことは一般公開されてないからね」
一般公開されてないのは知ってたけど噂ぐらい流れてると思うんだけど……。
「本当に、いいの…?」
ユリウス「嗚呼、ずっとここにいるのも暇だろう?国王にも許可は取ってあるよ」
”国王”と聞いて私は眉をひそめた。そして強い口調で言い放った。
「
ユリウスはため息を吐いて私を撫でた。以前の私なら触られただけで精霊魔法を出していただろう。でも今の私はユリウスに撫でてもらうのは嫌いじゃない。
だから大人しく撫でられているとユリウスはポツリと呟いた。
ユリウス「きっと君にも信頼出来る仲間ができるよ」
目を伏せ、ぶっきらぼうに返した。
「私の友達は、2人だけでいい」
私の心は水みたいに流れた。どれだけ拾おうとしても拾えない。それはきっとこれから先も変わらない。手で救えるのには限界がある。
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作者名:ゆき | 作成日時:2019年1月20日 18時