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思い出話 ページ9

嫌われてしまったかもしれない…。自分の失言を悶々と振り返る。

後悔の波が押し寄せてドアの前で突っ立っているとひとつ括りをした可愛い女の子がこちらを覗いているのを見つけた。

「あ、邪魔だった?ごめんね」


何か美味しいものを買ってこよう。1番女心がわかってそうな宇髄に頼もうか。発言には気をつけなければ

反省点と今後の予定を決めて歩き始めると、後ろからコインを投げる音が聞こえた。


(コイン…コイン……。そういえばカナエちゃんが引き取った子にコインをあげたと言ってたな。確か…)


「待って、ください」


そう控えめに声を掛けてきた子は真っ直ぐに俺の目を見つめる。


「ん、どうしたのかな?」

目線を合わせる為に屈むと女の子は俺の目を真っ直ぐ見つめたまま「貴方が桜華Aさんですか」と言った。


その一言で冷や汗が流れ、笑顔のまま思考停止した。そして女の子を抱え、走ってしのぶちゃんの部屋から遠ざかった。


εïз。*


「ふぅここまで来れば…」

女の子を見ると、余りの速さに目を回したのかぐったりとしている。
俺はまたやってしまった!と急いで降ろして寝かせる。仰いだりして声をかける。それを数分続けると女の子はうめき声をひとつ上げながら起き上がった。


「ごめんね。ちょっと焦りすぎて急いでしまった」

全力で謝罪すると女の子は気まずそうに許してくれた。

「で、俺についてなんだけど。君がカナエちゃんが引き取った栗花落カナヲちゃん、かな?」

女の子…基カナヲちゃんはコクリと小さく頷いた。


「どうして俺がカナエちゃんと付き合ってた桜華だってわかったの?」

「それは、カナエ姉さんから聞いた話でなんとなく」

それだけで分かるものなのか?と首をひねらせる。子供は敏感と言うし、分かってしまうのかもしれない。

疑問も無くなりストンとカナヲちゃんの隣に座る。

「俺のことどんな風にカナエちゃんが言ってたか聞いていい?」

笑顔で尋ねると懐からコインを出し、何を見たのかまた小さく頷いた。

「カナエ姉さんはずっと桜華さんの話をしていてその話をする時が1番幸せそうで、桜華さんの事を"桜みたいにいつか散ってしまいそう"と言ってました」

ちっ散る…。俺はそんなに弱そうな男に見えてたのか…否定はしないが。

「それと"とても優しい人"だとも」


優しい人…俺にとっての優しい人がカナエちゃんだった。

「師範は貴方の事を怒ってます。葬式にも出席しなかったし、顔も出さなかったから」

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天霧(プロフ) - とても面白かったです。続きが気になります。更新頑張ってください。 (2021年9月26日 8時) (レス) @page10 id: 8490818b21 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ゆき | 作成日時:2019年8月11日 16時

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