・ ページ41
その人の好きな所をどんどんと並べていく彼。聞いていて思った。つまり…全部が好きなんだな、と。
俺は少し興味が湧いてしまった。イケメンで男気もあるこの男を射止めた人物に。そう思ったことが、彼らの気持ちに気付くきっかけ。
別に人間観察は趣味ではなかったが、彼の言動や視線を注意深く見るようになった。そして…気付いてしまった。
彼の視線の先に、俺達が五人で守ってきた大切な仲間がいることに。一瞬で、彼が言いづらそうにしていた理由まで分かってしまった。
同性と言うだけでも冷たい目で見られることを覚悟しなければならないのに、その相手はメンバーときた。
ああ見えて真面目で責任感の強い彼のことだ。その気持ちを伝える気なんてないんじゃないか、とすら思った。
そして俺はお相手のことも観察するようになった。改めて気付いたが、彼の周りには人が多い。常に、誰かが隣にいる。そんな印象。
頷きながらシンメの彼の話を聞く姿から、やはり聞き上手だなとつくづく思った。
もちろん、ザリガニ男も周りに人がいる。特に現最年少と関西弁の彼。加入組、と言われるだけあって俺達とは違うまた特別な絆があるのだろう。
それを見ていた時、ふと彼の方に視線を移した。無意識だった。けれど、俺の瞳ははっきりと捉えた。
彼の瞳が、なんとも言えない色であいつの方を見ていることに。
それを悟った俺は、どうするべきかと悩み始めてしまった。そしてそんな時、幼馴染みに呼び出された。
dt「翔太、気付いた？」
「二人のことだろ？…まあ、目黒から相談受けてたし。」
dt「…絶対、二人には言っちゃダメだよ。」
「は…なんで？」
意味が、分からなかった。既に苦しそうな表情をしているのに、放っておけと言うのかと。
dt「…俺達は、耐えるしかない。俺達がしていいのは、あくまで助言とサポート程度。確かに、二人には苦しい時間が続くかもしれないけど…二人の決定に、俺たちが口出ししちゃダメだ。」
「それは…そうだけど。」
もどかしい。その一言に尽きる立場になってしまった。俺達は当事者にはなれない。
dt「あの二人なら大丈夫。きっと、乗り越えられる。だから信じて待とう。」
二人の苦しむ姿をこれ以上見たくなかった。早く幸せになって欲しかった。でも俺はその言葉を最もだと思ったから、首を縦に振った。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 496人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
Ju(プロフ) - 玖黎さん» SNSしておられたらフォローしたいな…と思っておりました、IDが載せられないのでやはりしておられなかったんですね（;;）キリンのように首を長くして待っていたので読者として私も安心です。主さんのペースで、頑張り過ぎないで下さい。また感想綴りにきます^^ (2021年6月9日 2時) (
レス) id: daebecd63d (このIDを非表示/違反報告)
玖黎(プロフ) - Juさん» ありがとうございます、そのお言葉がとても嬉しいです！SNSをやっていない為リアルタイムで皆様の感想を聞けない分、不安もありましたが無事完結させることが出来て私もほっとしております。この先も、応援していただけると嬉しいです！ (2021年6月8日 20時) (レス) id: 02deec9f9d (このIDを非表示/違反報告)
Ju(プロフ) - コメント失礼致します。完結おめでとうございます！mmabの中で唯一待ち続け、更新中に何度も読み返し更新されては直ぐに読む！を繰り返した作品なのでとても嬉しいです。本編終了後も未だ続くと聞いて興奮が冷めません、とっても楽しみにしています！ (2021年6月8日 18時) (レス) id: daebecd63d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：玖黎 | 作成日時：2021年2月7日 18時
