forlornness ページ15
一瞬、時が止まった。彼の言葉は俺にとってあまりにも衝撃的すぎた。
「今…なんて…どうし、て。」
黒「俺の話、聞いてくれる？」
少し困ったような…でも、いつもの彼と何ら変わらないような。そんな笑みを浮かべた彼に、俺は嫌だなんて言えるはずもなかった。
黒「どこから話そうかな…。あ、堅苦しい話し方もやめるね。」
ソファにかけるよう言い、ブランケットを手渡してくれて、温かい飲み物まで用意してくれた。本当にこの人は、どこまでも優しくて…残酷なほど、甘い。
「いつ、から…？」
黒「…最初からだよ。この世界で俺はかなり特殊で、異質な存在だから。」
そう言ってから彼は、自身も持つカップからあがる湯気に目を落として、寂しそうに笑った。
黒「こういうことはね、亮平が初めてじゃないんだ。何回も…数えるのをやめてしばらく経つから正確には分からないけど、たくさん。俺は…その記憶を全部持ってる。でも、他のみんなは誰一人として覚えてない。」
あぁ、そうか。時折この人が見せてきた悲しそうな表情は、この見えない孤独からだったんだ。
黒「最初は何度もこのことを伝えようと奮闘したけど、父さんも母さんも俺が悪い夢を見ただけだと気にも留めてくれなかった。その後は…諦めたよ。慎太郎もジェシーも、何も覚えていなかった。本当に、俺だけ…。」
どうして自分だけなのか。そう問いたげな表情をした。でもきっと、その返答はいつになっても返ってこないだろう。
黒「この世界のことも大体のことは理解しているつもりでいるよ。亮平の世界の物語が元になってて…確か、『人魚姫』だっけ？」
「そう…です。」
黒「ふはっ、いいよ別に敬語じゃなくて。確かに精神年齢は俺の方が全然上かもしれないけど。」
俺が丁寧な言葉遣いで話すと、ようやく彼は楽しそうに微笑んだ。よかった…少しだけ、いつもの彼に戻った気がする。
黒「前の時の名前も覚えてない。そもそも、自分が何者だったのかも分からない。…そんなもの、元から無かったのかもしれないけど。」
そう言ってから彼は自嘲的に笑った。そんな彼を見ていると、俺まで胸を締め付けられるように苦しくなってくる。
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Ju(プロフ) - 玖黎さん» SNSしておられたらフォローしたいな…と思っておりました、IDが載せられないのでやはりしておられなかったんですね（;;）キリンのように首を長くして待っていたので読者として私も安心です。主さんのペースで、頑張り過ぎないで下さい。また感想綴りにきます^^ (2021年6月9日 2時) (
レス) id: daebecd63d (このIDを非表示/違反報告)
玖黎(プロフ) - Juさん» ありがとうございます、そのお言葉がとても嬉しいです！SNSをやっていない為リアルタイムで皆様の感想を聞けない分、不安もありましたが無事完結させることが出来て私もほっとしております。この先も、応援していただけると嬉しいです！ (2021年6月8日 20時) (レス) id: 02deec9f9d (このIDを非表示/違反報告)
Ju(プロフ) - コメント失礼致します。完結おめでとうございます！mmabの中で唯一待ち続け、更新中に何度も読み返し更新されては直ぐに読む！を繰り返した作品なのでとても嬉しいです。本編終了後も未だ続くと聞いて興奮が冷めません、とっても楽しみにしています！ (2021年6月8日 18時) (レス) id: daebecd63d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：玖黎 | 作成日時：2021年2月7日 18時
