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『気になる本は見つかったのかい?』
「はい、これです。…何となく惹かれて。」
果たして何となくで選んで良かったんだろうか、と心配になったから最後になるにつれて段々と声が小さくなってしまった。
それに気付いてなのかどうかは分からないけど、それを聞くと店主さんはニコッと笑って
『時には何となくも必要じゃよ。自信を持ちなさい。運命なんて小ちゃいもんから大っきいもんまでいっぱいあるからの。』
本当に良いお店を見つけたな。素直にそう思った。最初は不気味に感じていた店主さんも、良い人過ぎて頭が上がらない。
寧ろ、少しでも不気味だと思っていた事が申し訳ない。こんなに心が温まるお店、今時そんなに無いから精神的な癒しになった。
「あ、お会計は…。」
『ん?おお、そうじゃった。その本はな、お代は貰っとらんのじゃよ。少し押し付けがましい気がするからの。家に持ち帰って読むんじゃぞ。』
悩みを解決する本…なんだよな。店主さんに言われた通り、俺は本を1度も開くことなく自宅に帰った。
最初はあんなに警戒していたくせに、今となっては本を開くのが楽しみで仕方無い。本当、単純だな…俺。
時間が大分遅くなっていたから、軽く食事をとってシャワーを浴びた。また痩せたって佐久間に怒られちゃうかな。
やる事が終わったから読み始めようと思って、ベッドに腰掛けた。いつもはテーブルの方で読むんだけど、今日は気分的にね。寝落ちしちゃってもいいや。
題名は相変わらず読めなかった。少し調べてみたりしたけど、どこの国でも使われていない文字だった。つくられた文字ってお洒落だな。
そんな事を考えながら、俺は本を開いた。目次も見たけど、いまいち詳しいことは書いていなかった。次のページから物語が始まる。俺はワクワクする気持ちを抑えながら、ページをめくった。
次の瞬間、俺は眩い光に全身を包まれた。あまりの出来事に、俺の思考回路は停止した。そんな中でもただ1つ分かったのは、この本は本物の魔法の本だったということ。
遠のいていく意識の中、頭の中に店主さんの
『行ってらっしゃい。』
という声が聞こえた…気がした。
それを聞いて、俺はその後本格的に意識を手放してしまった。
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玖唻(プロフ) - まほままさん» コメントありがとうございます!今まで始めるか悩んでいたのですが、2人のラジオに背中を押されました(笑)まほままさんのような温かい言葉がとても嬉しいです!これから頑張っていこうと思うので、よろしくお願いします。 (2020年9月6日 15時) (レス) id: 02deec9f9d (このIDを非表示/違反報告)
まほまま(プロフ) - はじめまして。めめあべが大好きな者です。こちらの作品は処女作なんですね!まだまだめめあべは世間ではマイナーなCPですが、美しい2人ですのでこの作品に期待しています!更新楽しみにお待ちしていますね。 (2020年9月6日 3時) (レス) id: 5fd2e2f33b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:玖黎 | 作成日時:2020年9月6日 0時