curiosity ページ9
『お客さん。』
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
突然後ろから声を掛けられた。俺は驚いて持っていた本を落としてしまった。
お化けとかは平気な筈なんだけどな…。
『ふぉっふぉっふぉっ、そんなに驚くことないじゃろ。』
振り返るとそこに居たのは店主らしき老人。男性…いや女性か?分からないな。
「え、と…あ、本落としてしまってすみません!」
『気にしなくて大丈夫じゃよ。簡単に壊れたりしないからのお。それに急に話し掛けた儂が大分悪いしの。』
優しい方で良かった。人によっては凄い剣幕で怒るシチュエーションだったからね。
「あの…先程まで話し掛けられなかったのに、急にどうされたんですか?」
『ああ、そうじゃった。1番大事なことを忘れとった。』
そう言った店主さんは近くにあった、売り物のアンティークの椅子に座った。…座っちゃっていいんだ。
『信じてくれるかどうかはさて置き…ここにある本はの、魔法の本なんじゃよ。』
「魔法の本?」
何だそれは、全く予想が付かない。しかもいきなりファンタジーの世界観が始まりそうで、頭が混乱しそう。
『しかも不思議な体験が出来るときたもんじゃ。…面白そうじゃろ?』
確かに面白そうだ。信じた訳では無いけど、少しでも楽しいならそれに賭けてみたい。…色々、忘れられそうだし。
『この店に来たということは悩みを抱えているということじゃ。しかも選べる本は1冊だけで、1度開いたら後戻りは出来ない。もし選ぶんじゃったら慎重に、じゃからな?』
1冊選んでみよう、そう思った俺は本を物色した。探している最中、こんなにユーモアな店主さんだったらもっと早く会いたかったな、なんて考えた。
背表紙に本の題名らしき文字は書いてあったけど、生憎見たことの無い文字だったから頼らない事にした。本当に直感で選ぶ感じ。
並んでいる本の中で1つ、気になる物があって目を留めた。
まるで海の様な深い青。そこからグラデーションで段々黒くなっていく。深海を表現しているみたいだ。洋書でグラデーションなんて初めて見たから興味が湧いた。
というのはきっと建前だ。心のどこかで、今日の翔太と目黒の飲みに行く約束が引っ掛かっていたんだろう。自覚は無かったけど、大いにありうる。
少しの間、表紙に見入っていたらちょんちょんと肩をつつかれた。
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玖唻(プロフ) - まほままさん» コメントありがとうございます!今まで始めるか悩んでいたのですが、2人のラジオに背中を押されました(笑)まほままさんのような温かい言葉がとても嬉しいです!これから頑張っていこうと思うので、よろしくお願いします。 (2020年9月6日 15時) (レス) id: 02deec9f9d (このIDを非表示/違反報告)
まほまま(プロフ) - はじめまして。めめあべが大好きな者です。こちらの作品は処女作なんですね!まだまだめめあべは世間ではマイナーなCPですが、美しい2人ですのでこの作品に期待しています!更新楽しみにお待ちしていますね。 (2020年9月6日 3時) (レス) id: 5fd2e2f33b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:玖黎 | 作成日時:2020年9月6日 0時