fear ページ30
次の日の朝、目を覚ますと嬉しそうな顔をした侍女の方が大勢入ってきた。これ…確かに好かれてるな。というか、昨日寝ちゃったのか。
ネグリジェからドレスに着替えさせてもらって、軽く髪の毛をいじられ化粧もしてもらった。でも、嫌な気はしない。
それと、センスがいいみたいだ。ドレスはごてごてのフリルとかが付いてるような派手な物ではなく素朴で、通された部屋も上品な雰囲気はあるもののギラギラはしていない。
居心地が良いって言うのはきっとこういうことを指すんだと思う。…例え、侍女の方の笑顔がプログラミングされたものだったとしても、俺は素直に喜びたい。
『あ、そういえばお伝えしていませんよね?』
突然1人の侍女が話を切り出した。小柄でほんわかとした可愛らしい女性。目黒は…こういうタイプが好きだったりするのかな?
『実は昨日のドレスも今日のドレスも、殿下がお選びになられたんですよ。』
『この部屋のインテリアもそうなんです!』
『殿下がここまで女性に関わるのは初めてのことなので、城の者は皆驚いているんです。』
船の上で話していたことはどうやら本当らしい。でも、侍女に限らず女性は噂好きと言うし…全部が全部本当なんてことは無いだろう。どこかしら話は盛っていると思う。
彼女達は俺の準備をしながら、ずっと話を続けてくれた。声を出すことが出来ない俺に対しての配慮だろう。話している間、一度も手が止まらなかったのはやはりプロだと思った。
彼女達の話はかなり興味深かった。庭園・図書館・騎士団・流行・城下のこと…情報収集になったからはっきり言ってありがたかった。
庭園は昨日王子が言っていた所だ。勉強好きの俺としては、もちろん図書館も気になった。でも一番は…
『やっぱり騎士団のΛ班の7人が一番かっこいいですよね〜。』
そう、騎士団だ。物語上あまり関係はないから会わないとは思うけど、なんとなく気になった。
『皆さんはどのお方が一番ですか?』
『私は閑也様です。この前荷物を運ぶのを手伝って下さって…!』
『げ、元太様だって素敵ですっ!』
『海人様もクールに見えて可愛らしいですよね。』
楽しそうに話す彼女達は少女そのもので、正直羨ましかった。俺がこの気持ちを楽しく話すなんてどう足掻いても無理だから。
俺は溢れそうになる羨望の気持ちを必死に飲み込んだ。
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玖唻(プロフ) - まほままさん» コメントありがとうございます!今まで始めるか悩んでいたのですが、2人のラジオに背中を押されました(笑)まほままさんのような温かい言葉がとても嬉しいです!これから頑張っていこうと思うので、よろしくお願いします。 (2020年9月6日 15時) (レス) id: 02deec9f9d (このIDを非表示/違反報告)
まほまま(プロフ) - はじめまして。めめあべが大好きな者です。こちらの作品は処女作なんですね!まだまだめめあべは世間ではマイナーなCPですが、美しい2人ですのでこの作品に期待しています!更新楽しみにお待ちしていますね。 (2020年9月6日 3時) (レス) id: 5fd2e2f33b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:玖黎 | 作成日時:2020年9月6日 0時