protagonist ページ18
浜に辿り着いた時、王子の体は冷えてしまっていたけれど呼吸が安定していたことが、彼が無事であるということを示していた。
少し辺りを見回すと、お城があった。多分この場所で正解なんだろう。…いや、物語の作用で元々間違えることなんて無いのかもしれない。
空はすっかり明るくなり、夜が明けたことを告げていた。…帰れなかったこと皆に謝らなきゃ。色々大変そうだな。
ふと視線を空から彼に戻した。本当に…綺麗な顔をしている、目黒は。この人は、目黒じゃないんだけどね。近くで見れば見る程、目黒本人と違う場所が見当たらない。
本当は、俺一人がこの本の世界に迷い込んでしまったのではなくて、全員でただ劇をしているだけなんじゃないかと錯覚してしまう程。
王子の、目黒の顔で見せる寝顔に胸が高鳴りそうになったけど、あくまでこの人は別人だと自分に言い聞かせた。
そうでないと、きっと俺は現実との区別がつかなくなってしまう。…そう、思ったから。
空には太陽が昇り、段々と暖かくなってきた。もう…時間がどのくらい経っているかなんて、分からなかった。
無意識のうちに、王子の頬を撫でてしまった。…自分でも、なかなか大胆な事をしてしまったとやった後に思った。目黒にこんな事したこと無いし。
その時、王子が薄ら目を開け始めた。「逃げなきゃ」と反射的に思った。
海に戻る少し前に、遠くから人の声や足音が聞こえた。きっと…助けが来たんだ。
“人魚姫”は岩陰に身を隠してその後の様子を盗み見していたのかもしれないけど、生憎俺はまだそこまで心の準備ができていない。
この後の事なんて…見たくない。だって、誰が来るかなんて分かりきっている事だから…。
?「大丈夫、ですか?」
黒「ん…あなた、は?」
?「あ、私は…」
「「れーん!」」
紅「蓮…ハァハァ、やっと…見つけた。」
翠「心配…かけん、な。」
黒「…ごめんて。」
紅「あ、お嬢さん。ありがとうございました。何か…お礼をさせていただけませんか?」
?「いえ…私は倒れているこの方を、ただ見つけただけなので。」
翠「謙虚な方…ですね。」
?「そんな事ありませんよ。それに…すぐ、お会い出来ます。」
翠「…それは、どういうこ」
?「それでは、また。」
既に城に向かっていた俺が、そんな会話を知る由もなかった。
400人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
玖唻(プロフ) - まほままさん» コメントありがとうございます!今まで始めるか悩んでいたのですが、2人のラジオに背中を押されました(笑)まほままさんのような温かい言葉がとても嬉しいです!これから頑張っていこうと思うので、よろしくお願いします。 (2020年9月6日 15時) (レス) id: 02deec9f9d (このIDを非表示/違反報告)
まほまま(プロフ) - はじめまして。めめあべが大好きな者です。こちらの作品は処女作なんですね!まだまだめめあべは世間ではマイナーなCPですが、美しい2人ですのでこの作品に期待しています!更新楽しみにお待ちしていますね。 (2020年9月6日 3時) (レス) id: 5fd2e2f33b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:玖黎 | 作成日時:2020年9月6日 0時