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空が赤くなってきた頃、太陽の方角に黒い影が見えた。そう…船だ。きっと、彼処に王子様がいるんだろうな。
失恋なんてしたくなければ王子と会わない選択だって出来るんだろう。でもそれだと物語も始まらないから終わりがない。現実世界に帰れないかもしれないなんて嫌だから、俺は流れに身を任せる。
船に近付くと、陽気な音楽と騒がしい声が聞こえてきた。船に近寄った事を少し…いや、かなり後悔したのは事実なんだけどね。
紅「AHAHAHA!殿下、そんなに前のめりになったら危険ですよ〜!」
翠「ちょっとジェシー…って何やってるんですか!危険ですよ!」
ジェシーと慎太郎が大声を出していた。あの感じだと多分…王子の従者ってところだな。
?「慎太郎大袈裟だよ。ほら、夕日が綺麗。」
声がした方向を向くと
黒「ていうか、2人とも敬語やめて昔みたいにしてよ。折角今は城から飛び出してるんだからさ。」
王子…目黒がいた。こういう時ほど悪い予感っていうのはよく当たる。みんなごめん、今日は…帰れそうにないかも。
気の所為であって欲しかった。…ははっ、俺はここでも失恋するのか。本当、報われないな…。
翠「分かった…でも蓮、お前そろそろ結婚相手見つけなきゃだろ?こんな事してばっかりだと王妃様が勝手に連れてくるよ。」
黒「いや、俺運命の人は自分で見つけたいんだよね〜…。」
紅「って言ってれば陛下が猶予をくれるからでしょ?AHAHAHAHA!」
どうやら王子は結婚相手を探しているらしい。この世界は人間も人魚も、俺の世界より成人が早いんだな。
15歳で結婚とか…考えられないな。それに、今は仕事の方が大事だし。とか言いつつ俺は目黒の事が好きなんだけどね。
気持ちが沈んだまま彼らを見ていると
ゴロゴロゴロ
と雷の鳴る音が聞こえた。いつの間に…。それから瞬く間に降ってきた激しい雨風に船は襲われていた。船上が騒がしくなったのがすぐに分かった。
波も荒れ、舵も全く取れていなかった。多分、波に持ってかれている。俺は何も出来ないから、ただ沈まないよう祈るだけだ。…それさえも意味はないと思うんだけどね。
ピカッ
突然空が光った。おばけが平気な俺でもかなりビビるほど。天気を学んでいなくたって分かる。これは…落ちる。
ピシッドカーン
案の定、雷は落ちた…王子の乗っている船に。
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玖唻(プロフ) - まほままさん» コメントありがとうございます!今まで始めるか悩んでいたのですが、2人のラジオに背中を押されました(笑)まほままさんのような温かい言葉がとても嬉しいです!これから頑張っていこうと思うので、よろしくお願いします。 (2020年9月6日 15時) (レス) id: 02deec9f9d (このIDを非表示/違反報告)
まほまま(プロフ) - はじめまして。めめあべが大好きな者です。こちらの作品は処女作なんですね!まだまだめめあべは世間ではマイナーなCPですが、美しい2人ですのでこの作品に期待しています!更新楽しみにお待ちしていますね。 (2020年9月6日 3時) (レス) id: 5fd2e2f33b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:玖黎 | 作成日時:2020年9月6日 0時