幼女と猫 ページ1
ある晴れた日の事。
福沢家の縁側では、桃色の生地に桜柄の着物を着た
Aが膝に三毛猫を乗せ、撫でていた。
三毛猫は気持ちいいのか、ゴロゴロと喉を鳴らしてスリスリとAに甘える。
「(可愛い……)」
自分を溺愛する乱歩は殺人事件の応援へ。
祖父の福沢諭吉は現在、政府のお偉いさんと重要な会議に出ている。
「……ひま」
武装探偵社で働いてはいるが、これでも6歳のA。小学校にも、キチンと通っている。
すると、猫がスルリとAの膝から降り、中へと入って行った。
「……?」
猫は気まぐれで度々、家に入ることもあるので
全くもって気にしないでAは青い空を見つめる。
すると、猫が戻ってくる気配がして、そちらを向くとAは固まった。
何故なら───
「……缶詰?」
猫が何処からか缶詰を咥えて持って来たのだ。
匂いでも辿ったのだろうか?
Aはそう思い乍ら缶詰を開けてやる。
すると、猫はちまちまと食べ始めた。
「……可愛い」
ふわり、と微笑む彼女を見た猫は満足そうに微笑む。
「(───矢張りこの子には笑顔が似合うのう……)」
そう思う猫の気持ちなど知らず、Aは撫で続けた。
何故、猫がAの事を気にするのかは実に簡単。
実は、猫の正体は夏目漱石と云う男。
祖父の福沢諭吉の師匠であり、Aの名付け親だ。
色々と複雑な環境で育つ彼女を人一倍、気にかけて、度々こうやって二人の目を盗み、やって来る。
夏目「(福沢よ。必ずこの子を守るのじゃぞ。)」
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まっちゃ - すごく面白いです。更新待っています (2021年5月5日 21時) (レス) id: bd6a8b3525 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:三ノ宮凛桜 | 作成日時:2020年1月31日 1時