オモチャに育てられた歌姫 (ページ3)

今日:3 hit、昨日:4 hit、合計:462 hit

＂魔王の子＂誕生ページ3

エレジアが壊滅した翌日、聖地マリージョアでは五老星と呼ばれる5人の老人たちが狼狽えていた。

｢魔王(トットムジカ)が喚び出されただと……！？｣
｢まさか、赤髪海賊団に"ウタウタの実の能力者が居たとは……！！｣
｢たった一夜にして国を……

エレジアを滅ぼした強力な能力(ちから)……！！あの娘は危険だ！！野放しにはできん……！！｣

そして、調査に入った海軍が見つけたのは、たった1人の幼い少女と、少女が抱えていた壊れかけのオモチャだった。

｢申し訳ない……！まさか、生き残りが居たとは思わず……｣

紫髪の屈強な男は勢いよく頭を下げ、少女に謝罪する。

｢……いいえ、仕方ありませんよ。こんなに、死んでるんだから……｣

少女は、そんな男に優しく言って遠くなったエレジアを見つめ、こう言った。

｢彼女は……ウタは、どうなりますか｣
｢もう手配書が回っているが、あの(・・)赤髪海賊団の1人だ。そう簡単には捕まらないと思う……｣
｢そうですか……｣

新聞に載ったエレジア壊滅事件と手配書を一瞥して、少女は持っていたオモチャを見つめて言った。

｢いつか必ず、私が仇を打つね。｣

男は子供がオモチャに話しかけているのを悲しそうに見守るが、オモチャは心配だった。

｢(ティキ……私は、君の身体が心配だよ……)｣

ゴードンは心の中で謝りつつ、ティキの心配をしていた。

────────────────