スーパーマン ページ2
．
憂鬱だった、１年をなんとか乗り越えて
やっと手越と違うクラスになれる季節がやってきたはずなのに。
手越「 あれ、また同じクラスじゃ〜ん笑笑 」
そう言いながら、席に座っている私に歩み寄りながら、私の後ろの席に荷物を置いた。
『 げ、 』
心の声が漏れてしまったと気づく頃には、
手越「 そんなに俺のこと嫌い？ 」
そう言いながら、手越の腕が私に伸びてくる。
そう気付いた時には遅くて、もう目の前に手越の手。
『 や、 』
そう声を出そうとした時、
「 Aに触んなよ、 」
私の横から低くて安心する声と程よい筋肉がついた腕が伸びてきた。
『 貴久、 』
手越の腕を止めてくれたのは、幼馴染の貴久だった。
手越「 えー、なんで〜？ 」
顔は笑顔だけど目が笑ってない。
こんな手越見たことなくて少し怖かった。
貴久「 髪触られんの嫌なんだよ、A。 」
貴久がそう言うとあからさまに申し訳なさそうな顔をする、手越。
手越「 え、そうなの？
ごめん知らなかったから… 」
眉毛がへの字になる手越を見ると、
私が悪いことしたみたいに感じてしまう。
『 いや、いいよ。 』
そう言うしかなかった。
私の隣の席に座った貴久に
『 ありがとね、貴久。 』
増田「 俺、硬派だから。笑 」
そう、おちゃらける貴久に
『 なんだそれ 笑 』
そう突っ込んだ。
貴久は、子供の時からいつも助けてくれた。
１人で遊んでる時も、忘れ物をした時も、
元気がない時も、具合が悪い時も。
私の中で貴久が��スーパーマン��になるのには、
そう時間がかからなかった。
久しぶりに、昔のことを思い出した。
貴久「 なんか嬉しそうだな。 」
『 え？』
貴久「 口、緩んでる。笑 」
貴久に言われるまで気がつかなかった。
私の中で小さい頃の記憶は、貴久で埋められていた。
いや、私のスーパーマンで埋められていた。
手越「 ……、 」
．
続く
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作者名：しおり | 作成日時：2018年5月20日 10時
