ちょっとだけ無理。 (ページ20)

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望side

雪「ねぇ、望くん。」

望「ん？」

雪「望くん、好きな子いるでしょ。」

望「え？なんで？」

デートした帰り道。なんとなく一応彼女やからまだ明るいけど家まで送って行った方がいいかなとおもて雪の後ろを着いて行ってた時、そんなことを言われた。

雪「今日で分かった。

言っとくけど私、そんな鈍感な女じゃないんだから。Aちゃんのこと好きでしょ。」

関西では珍しい、でも雪からしたら話しやすい標準語でそう言った。

俺が？

Aを？

雪「だってずっと。

Aちゃんの話しかして無かった。Aちゃんが望くんの事好きなの知ってる。だけどそれ以上に望くんはAちゃんの事、好きでしょ。｣

あいつの事が？

確かに今まで好きって感情がわからんくて、ちょっとしっかりしてる子とかモテる女子の事を見た時にあっ、こいつええやんって思った時これが好きなんかなって。

でも今思えばこれは、Aの事が好きすぎてほかの女子を見ても好きにならへんかったんかな。

雪「美味しいものを食べた時とか、綺麗な景色見た時とか1番に出てくる子は誰？」

美味しいもん食べたら？

次はあいつと食べに来よって、

綺麗な景色見た時は、今度来る時はあいつ連れてこよって、

雪「Aちゃん、浮かんだでしょ？

それ、Aちゃんの事が大好きだからでしょ？」

これが、恋？？

俺の初恋。

雪｢私、私を好きになってくれる人にしか興味無いの。

ごめんだけど別れよ？」

望「え？」

雪「……ｸﾞｽﾝｯじゃあね。1日デートしてくれてありがとう。」

俺は、そう言い捨てて小走りで泣きながら走り去っていく雪を追いかけることは、なぜかできなかった。