[鬼滅の刃] 愛する者、愛される者。 [短編集]

猛暑 <1>"不死川玄弥" ページ6

「あっっつい……」

「……」

「あっっっっついいい……」

「……」

「あづ……」

「うるせぇよ！！暑い暑い言い過ぎだ！！」

「あっついんだから仕方ないじゃん…、玄弥暑くないの？そんなにきっちり隊服着てさぁ。」

「……暑い。」

「素直でよろしい。よっしゃ、水浴び行こうぜ。水浴び。」

「は！？」


と、いうわけで後ろでまだぎゃあぎゃあ言ってる玄弥を力ずくで引き摺り川へ向かっています。


近くに丁度いい川があるのでそこに行こうと思うのですが、何しろ男女なので流石に裸はまずいよな……


と！思っていましたが！一昨日隊服の修繕を頼みに行ったら偶然前田さんに会いまして、水浴び用の服を作ってくれました！！

都合のいい世の中ありがとう。

それに、素材だけを変えて形は隊服なのでそのままドボンできるという。素晴らしい。


……と、ここまでがAの思考だが、皆さん、忘れてはならない。

前田は、別名ゲスメガネと呼ばれていることに……


前田は黙っていたのだ。水に浸かると徐々に透けていくということを……

今も前田は胸をときめかせてこう考えている。

(裸のようで裸ではない……。Aさんにはそれが似合うよなぁ……。きっと美しいぞ……。)


そんなことは露知らず、玄弥と共に川へとついたA。
諦めたのか玄弥も大人しくなり、暑さには勝てないので渋々上の服だけを脱ぎ始める。

「きゃー玄弥君大胆ー」

「気持ち悪ぃんだよやめろや……」

「そんなに引かなくても……」

生首に始まり、内臓、脳味噌に焼死体。
様々な無惨に殺された人の死体や、殺した鬼も少なくないA。今更男の裸に吃驚したり、顔を赤らめる乙女では無いことは常識である。

元々鬼殺隊の服は濡れにくく通気性が良い。
つまり乾きやすいのだ。
なので別に隊服のまま川に入ったとしても何ら問題はない。

だから、気付かない馬鹿もいるんだなと道中散々新しい隊服について自慢された玄弥は思った。

「うわぁ、玄弥筋肉凄くない？何食ったらそうなるの？」

「あ？鍛錬と修行だよ。お前こそなんだよ、その細っこい首に腕に脚は。」

「はっ！これはしなやかに動く私の特徴そのものと言ってもいい美しい体でしょうが！筋肉お化けとは違う！」

「それはお前の兄だろ……」

言い争いがまた始まる。

(さっさと川に入れよおお！！)

と、人知れず前田は思った。

何故だか知らんが。


＜続く＞

猛暑<2> "不死川玄弥"→←正体 "伊黒小芭内" *リクエスト

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