守りたいもの【中原中也】

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Aside



ｶﾞﾁｬｯ…




ドアが閉まる音がした。



(……？)




重い瞼を必死に動かし目を開けると
誰も居なかった。



微かに匂う男物の香水の香り





大好きなあの人の香り





(中也…来てたんだ)




幹部である中也は忙しいのに毎日此処に足を運んでくれる。





最後に彼の声を聞いたのはいつだったか




最後に彼の笑顔をみたのはいつだったか









(分からない……ここ何週間話してない…)




私は息を吐き身体をゆっくり起こし辺りを見回すと枕元に一枚の紙が置かれていた。




「？」




それを手に取り見ると
綺麗な字で




【ちゃんと食えよ】




とだけ書かれていた。




誰が書いたのか検討はついている。





「……ありがとう…中也。」



私の事をいつも心配してくれる中也を心からお礼を言うが



どうしても食べる気にはなれなかった。


「………」



食事をすれば思い出してしまう。




太宰幹部と中也と毎日食事を共にしていたこと。





初めてあの時









食事が楽しいと思えた。






「……」




ｷﾞｲ…



ドアが開き30代くらいの白衣を来た男が入ってきた。



「A様、お薬の時間です。」




今日も嫌な時間が始まる。

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