72話 ページ24
荷物を持って私の下へ来た彼らは、人数的に馬車に入らないからという理由で別の馬車に乗ることになった。
ロボロとグルッペンに挟まれながら乗り心地の悪い馬車に体を揺さぶられて、街から街を転々とする。陽も地平線に傾き始めた頃、私は数カ月ぶりにあの忌々しい家に戻った。
『ロボロ、起きて』
私の肩に寄りかかってすうすう寝息を立てているロボロの頭を片手で優しく叩くと、彼はぱちりと目を覚まし、寝惚けた顔で欠伸した。
転ばないよう気を付けながら馬車から降りると、全員降りたか確認をし、玄関の元まで歩いていく。
グルッペンが3回ほどノックすると、扉の内側から重々しそうにギギギと鳴らして玄関の扉が開いた。
グル「……………………A、どうにもできなくてすまない。」
だから、もういいって。そう言おうと口を開けるが、先程とはまた別のことに対しての謝罪のように聞こえ、思わず口を紡ぐ。
言葉の意図を理解しようとしていると、玄関先のロビーから見知った声が聞こえて、一度考えるのを放棄しそちらの方へと振り向いた。
ロビーには、機嫌の良さそうなアイリスと、顰めっ面で不機嫌そうなゾムがいた。
アイ「お兄様…!!お帰りなさい、1日会えなかっただけで、私寂しかったですわ…」
グル「……ああ。」
幸せそうだなあ、と他人事のように彼女を見ると一瞬目が合い、おもむろに睨んできたため私のことが嫌いなのは変わらないのね、と少し残念に思った。
仕方がないため実家であった事でも話そうとゾムに近付くと、不意にちっ、と舌を鳴らされる。
『ぞ、……っ？』
ゾム「…お前は戻ってこなくて良かったんやけどな。」
『………………、え？』
想像していた返答とは遥かに違った応えに、鳩が豆鉄砲を食ったような顔で目をぱちくりさせた。
終始私と目を合わせようともせず、ずっとアイリスのころころ変わる表情を幸せそうに眺める姿に思わず絶句する。
ああ、成程。ふぅん、そういうことね。
おかしい。
こんな短時間でゾムの心境にここまで変化は訪れないだろう。ということはこの狐、絶対にゾムに何かしたな。
アイ「……そういえば、後ろのお二人さんはどなたですか〜？」
チノ「あ、僕チーノと申します〜!」
シャオ「………シャオロン」
アイ「チーノさんと、しゃお、ろん。」
シャオロンを見た瞬間、彼女は目を見開き硬直する。
物珍しそうに、そしてどこか嬉しそうに。
アイ「……シャオちゃんって呼んでもいい？」
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清水(プロフ) - ねおさん» コメントありがとうございます!今後どういう展開になっていくのか、更新頻度をなるべく上げられるよう頑張らせていただきます。 (2月14日 22時) (
レス) id: 17bca52c33 (このIDを非表示/違反報告)
ねお(プロフ) - 更新が嬉しすぎる…！z.mニキどうなるのかすごい気になります！おs.h.oも何されるんだ、、。無理なさらずに更新頑張ってください！ (2月14日 20時) (レス) @page24 id: c2f9d03b74 (このIDを非表示/違反報告)
清水(プロフ) - 田中さん» コメントありがとうございます！沢山設定を練り込むのが好きなのでもっと凝った作品を作ろうと模索していたのですが、伏線を張りすぎて内容が理解しづらくなっていないかと少し不安でした…ですが、そう言って頂いて嬉しいです！更新、気長にお待ちいただけると幸いです (10月29日 23時) (レス) id: 17bca52c33 (このIDを非表示/違反報告)
田中(プロフ) - おもしろかったです！伏線が散りばめられてて、ドキドキしております、 (10月26日 23時) (レス) @page18 id: d6054e066b (このIDを非表示/違反報告)
清水(プロフ) - オンブルさん» すみません実は合ってます……後々ある伏線となりうる要素として変換しておいたのですがやはり不自然すぎますよね…。コメントいただき有り難うございます。 (7月2日 19時) (レス) id: 17bca52c33 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：清水 | 作成日時：2023年1月1日 21時
