《 星屑を瓶に詰めて 》 ページ15
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「ううん…ありがとう」
少女は瞳に滲む涙を拭き取ると
心配そうな少年に華やかな笑顔を向けた
「とっても元気が出たわ、本当にありがとう、またね！」
そう言って少女は
時折月の光が指す木々の中に消えていった
少年が伸ばした手に気付かず…
「あの子はダメだ…あの子には心配してくれる親がいる」
ーあの子ならぼくたちといっしょにあそんでくれるよ？ー
ーあのこなら私たちのことをたたかないわよ？ー
ーあのコなら此処にいてくれますよ？ー
風に揺られる枝木の音は
幼い子供達の声のように擦れ
草木を潤す川の音は
優しそうな女性の声のように流れ
水を飲む動物達の地面を踏む音は
落ち着いた老人の声のように鳴った
「ダメだ…彼女の存在は、君達には刺激が強すぎる…」
少年は枯れかけの花に水をやりながら
辺りに響く声と話している
ーあの子がほしいよ…君もそう思ってるんでしょ？ー
ー私はあのこと遊びたいわ…ー
ーこの森も、あのコをきにいっていますよー
声を聞く少年は
伸び続ける木々に、激しく流れる川に
賛同するように鳴く動物達を…
ただ静かに静止した
「ダメだ…あの子はダメなんだよ…君達に、私にとって彼女は麻薬と言ってもいいだろう…傍にいればいるほど、私達は更に彼女を求めるだろう…でも、それは感情はいずれ、彼女を深く傷付ける事になる…君達に言った筈だ…人を傷付ける事は許さないと…傷付けるつもりが無くとも、私達は人を傷付けてしまう…だから、あまり彼女に執着するな」
ー貴方はほんとうにむずかしいお方だー
屋敷に入っていった少年を見送った声の主達は
寂しそうな少年の背中を見ながら
ただの木々、川、動物に戻っていった
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作者名：コヒ・ミルキー | 作成日時：2023年11月25日 2時
