《 星屑を瓶に詰めて 》 ページ14
side
薄汚れた少女が一人、森の中を歩いている
手足に傷がついても気にせず森の奥深くへと進んでいる
彼女は…子供と言うには大人っぽく
大人と言うには幼さが残る顔だ
辺りが真っ暗になり動物達の遠吠えが聞こえてきた頃
少女はようやく足を止めた
疲労を見せる少女の視線の先には
庭は綺麗に手入れされ、空気も綺麗で
月の光に当たって美しく輝く立派な屋敷があった
少女は震える手を伸ばし、扉を開けた
扉はまるで、少女が来るのを待っていたかのように
疲れている彼女でも軽々と開く事ができた
扉の奥にはまるで映画の中のような世界が広がっていた
天井から吊り下げられた提灯から
溢れ出る光は少女を照らしている
少女の存在に気付き
部屋の奥から袴に身を包む笑顔の少年が歩いてきた
「また来たのかい…？」
「…ごめんなさい…本当に、ダメだよね…」
「私は構わないよ、君の気が済むまでここにいればいい、さぁおいで、傷の手当をしよう」
少年は涙ぐむ少女の手を引き、部屋の奥へと入っていく
少女が通されたのは広く暖かい部屋だった
部屋に入るなり好き勝手に棚を漁る少年
「さぁ座りなさい、腕を出して」
少年は丁寧に汚れを落とし、包帯を巻いていく
少女はそれを、ただじっと見ていた
「…ここに来るのは構わないけど、夜遅くに出歩くのは感心しないな、この森には…熊が出るから危ないよ」
「それを言うなら貴方もじゃない…貴方、私が来たらいつもここにいるじゃない、綺麗な場所だからずっといたいのは分かるけど、貴方も帰らないと親に怒られるわよ…？ここを綺麗にしてる管理人さんにも…」
「…そうだね、なら私は散らかした所を全て片付けてから帰るとするよ、だから君は先に帰っていて…私の家は山を降りてすぐの所だけど、君の家は遠いだろう？今ならまだ明るさが残っている、だからできるだけ早く帰るんだ」
少年がそう言うと、少女は微かに表情を暗くさせた
「私が…帰りたくないって言ったら、貴方ならどうする…？家に帰っても…家族は私を見てくれないの…そんな家に帰りたくない…寂しいの…」
震える声で話す少女に少年は…
「君の家の事に関しては、私にはなんとも言えないよ、君の親御さん達なりに何かを考えているかもしれないからね…でも、もしも辛くなったらまた来るといいよ、私には話を聞く事しか出来ないけれど…」
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作者名：コヒ・ミルキー | 作成日時：2023年11月25日 2時
