五十七本 ページ10
威榧side
ここが俺のコテージと聞いても、安心はできない…
誰かが窓を開けて入ってくるかも…
誰かがドアを壊して入ってくるかも…
そう考えると怖いから…
怖いけど…一旦外に出て心を落ち着けよう…
今のままだと明日になって後悔する…と思うから
今朝はあんなに暑かったのに…夜は随分と涼しいな
凪斗が希望ヶ峰学園に選ばれなかったら…
こんな、恐ろしい事に…凪斗を巻き込まずに済んだのに…
目の前にあるのは星を反射する綺麗な海…
この海に飛び込んで、そのまま沈んで
苦しまずに消えていけたら…
『誰も手を加えないで…それがただの事故として処理されたら…誰も傷つかないかな』
足に冷たい水が当たって、気持ちいい…
俺が普通の高校生なら、こんな事じゃなく
普通にこの島に来れてたなら…飛び込んでたかな
何故か、どこまで行くか試したくなって
俺は制服が濡れる事も気にせず、水平線の方へ歩いて行く
狛｢Aがそんな事をしたら…ボクは悲しいよ｣
『…凪斗、起きてたんだ』
波の音をかき消して聞こえた声に振り返ると
そこには凪斗がいた…
狛｢眠くなるまで海を眺めようと外を見たらAが海に向かって歩いていくんだよ…？つい走ってきちゃった…ねぇA、いくらこの島が南国とはいえ、そんなに濡れてたら風邪ひくよ…ほら、戻っておいで…？｣
『……』
波に足を取られないように…力を入れて
必死に砂浜の方へ歩いて、凪斗が伸ばした手につかまった
狛｢Aはそんな事考えなくていいんだよ、そんな事は…ボクが全部やってあげるから…｣
水に浸かって冷えた体が…
凪斗に抱きしめられた事で温まっていく
凪斗も…何もしないで、とは言えなかった
今にも泣きそうな顔で…口を塞がれたから…
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作者名：コヒ・ミルキー | 作成日時：2023年11月18日 11時
