五十四本 ページ6
日向side
十「いくら混乱しようとも取り乱そうとも構わない、だが、これだけは肝に銘じておけ…どこの誰が俺達を陥れようとしているのかは、知らないが…今の俺達が1番警戒すべきなのは、あの非常識な機械でも…それを操る誰かでもない…」
十「それよりも、まず警戒すべきなのは…ここにいる俺達自身だ、見ず知らずの連中と共に南国の島に連れて来られ、そこで殺し合いを命じられ…そうやって植え付けられた絶望的な恐怖心から逃れたいという気持ちこそが…俺達の最大の敵なんだ」
俺達は…自然と互いの顔を見回していた…
その顔付きを見れば一目瞭然だった
その場の誰もが…今の言葉を認めてしまった
自分にも“その可能性”があるという事を
認めてしまっていたんだ
仲間を殺した生徒だけがこの島から脱出できる…
つまり、この絶望的な状況から逃げ出す為には
他人を犠牲にしなければならない…
けど、それが起こらないとは言い切れない
いや、むしろ…俺自身だってそうだ…
本当にそんな事しないって言い切れるのか？
…いや、言いきれないはずだ
この悪夢のような状況の中では…
それを言い切れる自信はない
俺達に植え付けれた疑心暗鬼は
他人に対してだけでなく…
自分自身に対してもそうだった
…だからこそ、絶望的だった
その日は、俺にとって
単なる365分の1日なんかじゃなくって…
もっと特別な意味を持つ1日だった
特別で…“絶望的”な意味を持つ1日だった
…それが始まりだったんだ
この“南の島”を舞台とした
『コロシアイ修学旅行』の始まりだったんだ
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作者名：コヒ・ミルキー | 作成日時：2023年11月18日 11時
