九十五本 ページ48
辺古山side
モノクマの言う秘密の入口…とやらを探す為
私は皆が集まる砂浜を見渡した
向けた視線の先には海の方へと走る筒見の姿があった
他の者は現状に戸惑うばかりで筒見に気付いていない
出来ればこの場から離れたくはなかったのだが
仕方あるまいと、私は筒見を追い掛けた
ーーーーー
筒見はヤシの木の周りを走り回っている
そして何も無い砂浜を飛び跳ねたかと思うと
木の枝や貝殻を海へと投げ始めた
「筒見、先程から何をやっているのだ？」
筒「んー？あ、ペコちゃん！モノクマの言う秘密の入口ってのを探そうと思ってね」
「…それならば皆と共にやった方が効率的ではないか？」
筒「うーん…それも1回は考えたんだけどねー？あの空気感だと言いづらかった…それにみんなの中に十神君を殺した犯人がいると思うと…とてもじゃないけどあの場に留まれないよ…あ！ペコちゃん、暇なら探索手伝ってくれない？」
「………」
初対面の時から思っていたが、筒見は情緒が激しい
何やら悩んでいた表情を見せたかと思うと
次の瞬間には笑顔に変わっているのだ
だが、今はそんな事はどうでもいい
「筒見…なぜ私の動向を許すのだ…私は十神が殺された時、事務室から姿を消していたのだぞ、それも十神に任された職務を放棄して…だ、そんな私を…容疑者を傍に置いておくのは些か危険ではないか？」
筒見は私の言葉に少し悩んだ素振りを見せて
真っ直ぐ私の目を見て、笑顔で答えた
筒「ペコちゃんはそんな事しないから！」
「何故そう言い切れる、筒見とはまだ会って日も浅いというのに…」
筒「だって僕達は親友じゃん！ペコちゃんは絶対にお友達を傷つけるような人じゃないでしょ？…勝手にペコちゃんのお友達を名乗って…そこまでして安全圏にいたいのかって、思われるかもしれないけど…でも、僕はペコちゃんと本当のお友達になりたいって、そう思ってるよ！」
そう言った筒見は
月の光に当てられて美しく輝いていた
優しそうに微笑む筒見の姿は…
まるで、あのお方のよう…
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作者名：コヒ・ミルキー | 作成日時：2023年11月18日 11時
