六十八本 ページ21
狛枝side
コテージから旧館までそんなに距離は無い
けど…旧館に着くまで、誰かの姿が見えるまで
Aの体温を感じていたい
…可愛い…毛色のいい野良猫を手懐けた気分だ
昔は手を握るどころか近付くだけで怖がってたのにね
指を絡めると微かにAの手に力が篭もった
顔を逸らしてるからはっきりとは分からないけど
Aの顔は真っ赤なんだろうな
「A、こっち向いて…」
威『嫌…』
僕はAの腕を引き寄せて顔を隠す長い前髪を避けた
案の定Aの顔は真っ赤で
じっと見られて恥ずかしくなったのか
Aは僕が掴んでない方の腕で顔を隠した
威『み、見ないで…！』
「イヤだ、ずっと見ていたい」
僕は顔を赤くするAと共に草陰に座り込んだ
Aが旧館に行くまでに
少しでも心を落ち着かせたいって言ってるし
それより何よりAのこんな可愛い顔を
他の人に見せたくないしね
僕は蹲るAの手を握った
パーティーなんかに行かないで
ずっとここにいようかな
Aは震えながら僕の腕を掴み
そのままもたれかかった
こうして体をくっつけると
Aの、心臓の鼓動が…通常より早いのがわかる
「どうしたの…？Aから甘えてくるなんて珍しいね」
威『……そんなんじゃないし…』
「そんな赤い顔で言われても説得力ないよ、ねぇ…どうしてこんなに鼓動が早いの？どうしてAの手はこんなに震えてるの？ねぇ、教えてよA…」
僕はAの赤い耳や、細くて白い首に齧り付いた
…コテージでやったばっかりなのに
何度やっても…足りない
早く行かなきゃ行けないのに
遅れると十神クンに怒られちゃうのに
Aが…足りないんだよ
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作者名：コヒ・ミルキー | 作成日時：2023年11月18日 11時
