俺だけ。 (ページ37)

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薮side

『、、薮、、俺に隠し事してない、、？』

光のその言葉にどきりと心臓が跳ねる。

「、、、、別に、、ないよ、」

言おうか迷ったが

言って光との仲が悪くなるのは避けたい。

『嘘つくなよ』

光の視線が見なくても分かるほど強く感じる。

「嘘じゃねーよ」

光に嘘をついている背徳感を感じながらも

嘘を貫く。

その時に真実を言えば良かったんだ。

嘘なんてつかなければ。

『なんで隠すんだよ。そんな言えないことなのかよ！』

光が苛立ち始めた。

その口調に俺も苛立ってくる。

「だから何も無いって言ってんだろ。しつけーよ！」

俺も強く返してしまい、言った後に後悔する。

『、、、裕翔とキス、、したんだろ、？』

全身に鳥肌が立った。

まさか、光がその事を知っていると思わなかったから。

俺は反論できなかった。

『なんで隠すんだよ。なんで言わねーんだよ。俺は薮の何なんだよ！』

怒りながら声を少し震わせる光。

『黙ってないでなんか言えよ！』

思いっきり肩を掴まれる。

なんて言えば良いのか分からなかった。

裕翔がしてきたと言っても光が信じてくれるかなんて分からない。

それに真実を言って、光が悲しむ姿を見たくなかった。

『俺には離れるなとか言っといて

離れていきそうなのは薮の方じゃん』

「、、、は？」

光のその言葉にさっきまでの悩みが一気に吹っ飛ぶ。

『裕翔の事気になってんだろ？俺の事なんて何も思ってないんだろ？』

違う、俺は光しか見てない

光しか好きじゃないのに、なんで

「なんだよそれ」

『だってそうじゃん。俺なんかより裕翔といる方が楽しそうだもん、、薮』

意味が分からない

一緒にいて光以上に幸せを感じた人はいないのに

自信の無い光に段々と苛立ってくる。

「別れたいって言いたいの？」

自分でも驚く程の冷たいトーン。

光の表情も強ばっていた。

「俺と別れて大ちゃんとこ行くのかよ」

光は視線を落とし、黙ったまま

俺の肩を掴んでた手を離す。

その反応に焦る。

本当に俺から離れてしまうと感じ

離れた手首をすかさず掴み、ドアに押し付けた。

『いっ、、！』

光は顔を歪めた。

「、、答えろよ、光」

光を睨めば、今にも泣きそうな顔。

『、、離し、て、痛いっ、』

自分でも抑えきれないほど光の手首を握りしめる。

『、、俺は、、』

" ﾄﾝﾄﾝ "

光が口を開いた時、ドアからノック音が聞こえた。