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有「ひっか!」





ゆっくり近づいて大きな声で名前を呼ぶと

肩を跳ねらして俺の方を振り返った。





『びびったぁ笑 大ちゃんかー笑』





いつもの可愛い笑顔で笑ったひか。





有「こんなとこで何してんの?」




『え?んーっと、考え事』





手に持った紙コップのコーヒーを見つめる

大きくて綺麗な目。




でも所々に見える切なさ。





有「、、なんかあったの?」





俺の言葉に目を一瞬だけ泳がせるひか。






『別に?』




有「ふーん、そっか」





ひかの隣に腰かける。





・・・・・





お互い何も喋らず沈黙の空気が流れた。




その空気を破ったのはひかだった。





『ねぇ、大ちゃん』




有「ん?」




『俺、、薮に振られちゃうかも、』





少し声を震わせてカップを見つめる目は

少しうるんでいた。





有「、、え?、何で?」





薮ちゃんがひかを振る?

そんな訳がない

あんな、「光、光」って

ひかは命ってほど大切な存在なのに





『だって、、薮、、裕翔と、キ、キス、したんだよ、?』





その言葉に衝撃を受けた。




まさか裕翔の名前が出てくると思わなかったから。





有「それは、、ひかが見たの?」





ひかは俯いたまま首を横に振る。





『楽屋で皆と裕翔が誰かとキスしたって話をしてて、、薮は話に入ってなかったんだけど、話が詳しくなってくうちに、分かりやすく楽屋を出てっちゃって、』





有「なるほど、、」





薮ちゃんと裕翔が何でそうなったんだろう




ただのおふざけ? それとも罰ゲームとか?





何にせよ、薮ちゃんがひかが悲しむようなことはしないはず




だったら裕翔が?





『あ、やば、、泣きそ、』





ひかの目から涙が今にも溢れ出しそうだった。





有「ちょ、、泣かないで、まだ撮影あるでしょ?」





ひかの涙を親指で拭うと

少し不貞腐れてるのか悲しんでるのか

よく分からない顔をするひか。





ひかが悲しんでるの見たくない、、





ひかの涙を拭ったあと、ひかの頬に触れた。





『?、、大ちゃん?』





驚いた大きな瞳が俺を見つめる。





ごめん、ひか





有「ひか、、俺が好きって言ったら、困る、、?」





ひかの目がゆっくりと見開いていった。





『、、え、?』





自分の心臓の音がうるさいくらいに聞こえる。





有「、、ずっと、、ずっと前から、、」





もう後戻りはできない。





有「ひかのことが好き、、なの」





またひかを困らせた、、。

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作者名:M. | 作成日時:2021年7月14日 3時

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