第五話 暗い街、明るい太陽 ページ6
その夜、私は部屋の窓からただぼーっと景色を眺めるばかりだった。
夜景は、暗くて物寂しかった。
私達の街を輝く照らそうとする月からの光。だが、街全体を光で覆ってはいなかった。
私はそんな事を考えているうちに眠りに落ちた。
朝、私は電気をつけると、昨日のように窓から街を覗いた。昨日のような静けさは、まるで嘘のように鮮やかだ。
いつも見慣れている街だったが、私に感動を与えてくれる、そんな太陽の光。
「良いな〜街は。太陽と毎日会えるなんて。」と自分の心を自虐した。
「ねえ、お父さま。今日は何かある?」
「今日も貿易があるよ。」
「それは、どこの国との貿易なの？」
私は恐る恐る聞いてみた。
「A。本当はわかっているだろう？」
お父さまは私に向かって穏やかな笑顔で言った。
もしかして、私の心、読まれてる…？
焦っていると、父と執事が話し合っていた。
「ああ、わかったよ。A。今日はお迎えに行ってくれないか。」
「え？……はい、分かりました…」
お父さまに従うように、私は一人で玄関に向かった。
「はぁ……誰だろ…」
と思いながらも期待している私がいた。
ｶﾞﾁｬ
「…こんにちは……!!?」
「Ciao！A！昨日ぶりだね」
そこにはやはり彼がいた。
「あれっ、フェリシアーノ。お父様は？」
「ヴェ…寝坊したから先に行っててって言われてね…」
「じゃあ、あとから来るってお父さまに言っておくね！」
「大丈夫だよ。もう伝えてるらしいから！」
「じゃあ、行こ？」
今日は、私から手を引いた。
彼は私の手を取り、穏やかな笑顔で握り返した。
「今日はね、私の部屋とか行こ？」
「ヴェっ……」
彼は頬や耳が赤く染まった。
「フェリシアーノ？どうしたの？」
「……俺で、いいの？」
「え？いいよ。部屋汚いかもだけど…」
そういうと彼ははっと我に返るように目を見開いた。
「えへへっ、そっかぁ…大丈夫だよ」
私は気を取り直して、指を絡めて歩いた。他愛もない話しかしてなかったけど、私はとても楽しかった。
しばらくして私の部屋の前に着いた。
ドアを開けると、彼は
「わぁ……!!綺麗…」
と感嘆していた。なんだか恥ずかしい気持ちだった。
私達は中に入って2人ソファに腰掛けた。
「Aの部屋、いい匂いするね〜」
「いい匂いでしょ？」
「すっごくいいね。落ち着く…」
彼はまるで自分の家のようにくつろいでいる。
部屋全体に漂う、私の好きな香り。
私は深呼吸をして高まる鼓動を抑えた。
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ささみのｸｼｬﾐ(プロフ) - ありがとうございます！応援、とても嬉しいです…。 (9月21日 22時) (
レス) id: ebbfe69b10 (このIDを非表示/違反報告)
ぽてち(プロフ) - うわああ！とてもドキドキキュンキュンしました...！お話が面白いうえに読みやすくて大好きです！北伊の小説ありがとうございます😭これからも応援してます！ (9月16日 21時) (レス) @page5 id: b72c422986 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ささみのｸｼｬﾐ | 作者ホームページ：http://sasaminokusyami
作成日時：2023年9月14日 22時
