第三話 疎外感 ページ4
私達はまずエントランスホールに向かった。
意外とシックで落ち着いた雰囲気なのに豪華なシャンデリアがあるのが特徴的で、私が好きな場所の一つだ。
「ヴェー…ここから俺たちが入ってきたんだよね〜。凄いよね。ここもいいね！」
まじまじと堪能している彼に、少し恥ずかしさを感じた。
「そ、そんなに見る…？書斎に行こうと思ったんだけど…ま、いっか」
「ねぇ、この写真は？」
壁に飾られている、いくつもの思い出。私やお手伝いさんたちの写真もあるが、どこか知らない風景写真もあった。
「うーん…。それ、どこなんだろうね。分からないよ…。」
「Aが知らないんだったら、ここではないだろうけど…綺麗なところだね。
あ、書斎行くんだっけ？引き留めちゃってごめんね。」
私達は書斎に行った。
「うわぁ〜！！ここ、俺の所よりも本がある〜！！」
目を輝かせて彼は周りを見渡した。
「ねぇフェリシアーノ。ここには愛が隠されてると思う？」
もしかしたら…秘密の本があったりして…。と少し期待しながら彼に尋ねた。
「一緒に探してみようよ！時間も考えないとね…。じゃあ、あの針が6のところに来たら終わろう〜！」
彼は謎に張り切っているようだ。そして両親の秘密の本を探しに一周した。
「フェリシアーノ！来て！」
彼を呼んで、私は本棚からとある分厚い本を一冊取り出した。
「ヴェ…凄い分厚い…」
題名が”真実の愛”という、お母様の字であろうフォントが表紙に書かれてある本を見つけた。
恐る恐る中を見てみると…
「父との出会いや今まで行ったデート場所とか色々思い出が詰め込まれてる…。」
母がどうやって父に愛を伝えているのかがものすごく分かった。
お互いに溺愛してるんだろうな、とまた羨ましく感じた。
「こんなに愛されて、Aちゃんのお父様も幸せなんだろうなぁ。凄いほっこりするよ。」
少し心がモヤモヤする…。疎外感を感じたのかもしれない。
「なんかちょっと寂しいや…。」
私の気持ちを悟ってくれたのか、彼は本を閉じて戻してくれた。
「今日の朝、Aちゃんのお父様が言ってたことを思い出して？
"我が国の愛らしい娘です"って言ってたでしょ？だから、君の事も愛してくれてるに決まってるよ。」
「フェリシアーノ……。うん。そうだね、ありがとう。」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 3人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ささみのｸｼｬﾐ(プロフ) - ありがとうございます！応援、とても嬉しいです…。 (9月21日 22時) (
レス) id: ebbfe69b10 (このIDを非表示/違反報告)
ぽてち(プロフ) - うわああ！とてもドキドキキュンキュンしました...！お話が面白いうえに読みやすくて大好きです！北伊の小説ありがとうございます😭これからも応援してます！ (9月16日 21時) (レス) @page5 id: b72c422986 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ささみのｸｼｬﾐ | 作者ホームページ：http://sasaminokusyami
作成日時：2023年9月14日 22時
