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奇跡に救われた話 ページ46







「ッ……フィン!」





森をひっくり返す勢いで探した。だが、見つからなかった



親戚の家をたらい回しにされ、そこで毎日のように暴言を吐かれる日々に耐え切れなかったのだろう。フィンは俺が目を離した一瞬の間に消えていた



ふつふつと毎秒毎に湧き上がる焦りと不安に冷や汗が頬をつたう





段々と遅く動かなくなっていく足に苛立ちを感じ乍ら無理矢理走っていたからか、その一瞬の思考のうちに足はもう引き摺る事すら出来ない程悲鳴を上げる



なのに自身の心情を嘲笑っているとさえ思える程森は美しく揺らめいていた







「クソッ…」







これじゃ、いつまで経ったってフィンを見つけられない



そう、思った時だった





ふと、茂みの方から草を踏みつけるような音が聞こえてきた。兎よりも何十倍もデカいであろうそれに、いつでも魔法が打てるよう体制を整える






『うわっ危な』



「ッは?」






が、茂みから出てきたのは人間……しかも少女だった




張り詰めていた糸が一気に切れ、今までの疲労が身体に押し寄せる。倒れるように草むらに膝を着くと、此方に歩いてくる音がした後視界にふっと影が落ちた






「……何の用だ」






親戚のせいと言うのもあり、貴族に対して良い印象の無いレインは下に落ちていた視線を上にあげ身なりの良い少女を睨む



ただでさえ一度魔法で攻撃をしてしまったのだ、最早暴言のみでは無く痛みも覚悟していた





___その時だった





いつの間にか冷えていた身体に久しぶりの温もりを感じたのだ。


慌てて確認すると、それは先程まで少女が来ていた上質なコートであった。花の匂いが鼻を掠める






『まだ冬ではないとはいえ、日が沈めば寒いだろう。何故こんな森の中に居るのか分からないが、一度それで暖まりなさい』






慈愛に満ちた、優しい声と眼。




弟を守る為、心身を削っていたレインにはそれがとても"眩しく羨ましかった"






なのに……








『私も何か手伝える事とかない?』








心が温まってゆく……








レインは肩に掛けられたコートを無意識に掴み、この人に、Aに会えた奇跡に包まれ続けた

魔法を愛していた話→←私には饒舌な君



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あやなみ。(プロフ) - きぬ田さん» 有難うございます、此方こそずっと会話できたらなと思ってます。これから宜しくお願いいたします。 (3月17日 18時) (レス) id: 861062e758 (このIDを非表示/違反報告)
きぬ田(プロフ) - あやなみ。さん» こちらこそよろしくお願いします!お話出来る人がいて嬉しいです!ボードも作ってくださりありがとうございます! (3月17日 18時) (レス) id: f1e01a76a5 (このIDを非表示/違反報告)
あやなみ。(プロフ) - きぬ田さん» わぁ!よかったです!あのそこで会話しましょう!ボード返事とかもお待ちしています、これから宜しくお願いします。 (3月17日 18時) (レス) id: 861062e758 (このIDを非表示/違反報告)
きぬ田(プロフ) - あやなみ。さん» 本当だ!来てました!ありがとうございます〜沢山話しましょ! (3月17日 18時) (レス) id: f1e01a76a5 (このIDを非表示/違反報告)
あやなみ。(プロフ) - きぬ田さん» あのきぬ田さんのボードに返事もう送っておりますのでそこで会話しましょう。通知とか来てると思うのでご確認お願いします。 (3月17日 18時) (レス) id: 861062e758 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:きぬ田 | 作成日時:2024年1月28日 22時

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