5人のお兄ちゃん2 (ページ13)

今日:7 hit、昨日:4 hit、合計:50,813 hit

･ページ13

北斗 side
･
それから慎太郎の撮影は始まった

俳優モードに入っているらしく
いつもの慎太郎とはまるで別人だった

『先生？俺の病気もうっ』

「何言って、、」

『いいんだよ別にっ死んだって誰も悲しむわけない』

俺がこのセリフを言ったら慎太郎が俺の方に来て
優しく寄り添う、、

「いいかげんにっ、、｣

『へっ？、、ちょっ』

「誰も悲しまない？ふざけんなっ残される人の気持ち少しは考えろよっ」

急に胸ぐら掴んで台本にないことを言ってくる

周りが騒がしくなってるのに気づいてないの？

『先生？冗談だって、、はなしっ』

ﾊﾟﾁﾝｯ

「冗談？信じらんなっ、、二度とそんな冗談言うな｣

慎太郎は絶対別のことを考えている
慎太郎の目を見たら分かるもんっ

『ははっ、、じゃあ何？先生は死ぬの分かってて普段通り過ごせんの？』

監督の方を横目で見ると続けていいと知らせてくれた

今しか慎太郎と分かちあえないはず
そう思って俺も溜まったものを全部慎太郎にぶつける事にした

「はぁ、、とにかく二度とそん」

『先生には俺ら病人の気持ち分かんの？』

「えっ、、それはっ」

『分かんないでしょ、人困らせてそれだけなんだって、周りの事ずっと考えて生きてきゃいけないんだよ、、なのにっ』

「ほくとっ、、」

『今だってなんもなかったら高校行って、、』

役は役だ
ちゃんと設定に合わせていかないと

慎太郎の方を見ると目を少し赤くしていた
これ、、いつまで撮るんだろっ

「そう、じゃあもう死ねば？」

急に想定外の事を言い出した慎太郎を

俺はさっきまでの勢いよく反抗する事も無く
ただ見つめる事しか出来なかった

周りの空気も最悪で
今までいくつも撮影してきたけど、1番と言っていいほど凍りついていた