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戻れない場所まで ページ9

蘭ちゃんも竜ちゃんも良くやったと褒めてくれるし
あの後アジトに行けば
ココさんもマイキーさんも「見直した」と言ってくれた。
さすが反社。


あの時は感情に囚われて正しい判断が出来なかったんだと、三途さんがいれてくれたお茶を飲みながら考えをまとめていく。

三途さんの髪の色と同じ色のローズヒップティー。
1口飲めば心が休まる……はずだった。


なのに、何故か全身に違和感を感じる。
毛が逆立つ様な高揚感。

目の前がチカチカと星や打ち上げ花火が散っているようにキラキラして
薄暗いアジトの中が明るく見える。


『蘭ちゃん、竜ちゃん、私……どうしちゃったんだろう』

振り向いた2人が目を見開く。
私今どうなってるんだろう。


蘭ちゃんも竜ちゃんも三途さんの胸ぐらを掴んでなにか言い合ってる。

『2人とも、喧嘩はダメだよー。見て!花火が咲いた』


とっても気持ちがいい。
今なら空も飛べそうなくらい体が軽い。

蘭「A!」

『どうして2人ともそんな怖い顔しているの?こんなに綺麗なのに……』


三「ほら、お姫様はお気に召したみたいだぞー。A春ちゃんの所においで」


三途さんが両腕を開いて私を呼ぶ。


三「春ちゃんがもっと気持ちいいことしてやるよ」


もっと……気持ちいいこと……?


『帰りたい』

三「は?」
蘭、竜「は??」


『私、蘭ちゃんと竜ちゃんとご飯食べたい。2人と寝たい。こんなに気分がいい日は2人と楽しいことしたいの』


今ならいつも言えないことが言えそうな
そんな不思議な勇気が湧いてくる。


『蘭ちゃん、竜ちゃん大好き』


私を抱きしめる2人をギュッと抱き返す。

気分は確かにすごくいい。
でもこれはいつもの安心した感じをくれなくて
ソワソワした気持ちになる。


でも抱きしめた2人のうなじから香るコロンの香りがいつもの落ち着きを取り戻してくれる。
安心をくれる。


竜「ヤク中次はねーぞ」

蘭「狂ってんのはテメーの頭の中だけにしとけよ」


2人は中指を立てて後ろを向く。


三「いつもの奴じゃねーから帰ったらお楽しみだなー。俺からのご褒美だ」


その言葉の意味は分からなかった。
分かったのは心臓が激しく仕事をしていて体が暑くて
ポップコーンが弾けたように
感じた事のない虚しさが身体中を蝕む感覚だけ。


エレベーターに乗り、2人が心配そうに背中を撫でる。

その手すらももどかしくて仕方がなかった。

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作者名:あみ | 作成日時:2021年9月19日 14時

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