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紫陽花の魔法 ページ38

計画初日。
この日までに沢山イメトレをした。
どれだけの時間頭をフル稼働していたか分からない。

前日の寝る2時間前位は頭を休めろと、蘭ちゃんと竜ちゃんに挟まれて
ベッドでずっと頭を撫でられていた。

あんな心地良い瞬間はきっとこの先
2人からしか与えられないだろうと思った。


思ったからにはこの計画は失敗してはならない。
失敗は死を意味する。


その日選んだ服は黒のタンクトップに赤紫のオフショルパーカーに白のスキニー。
万が一相手が先手を打っても逃げられるように動きやすい服を選ぶ。

銃器は一切持ち込めない。
身を守る壁もない。
安全などそこには欠片もなかった。


『蘭ちゃん、竜ちゃん。私頑張ってくるね』


蘭「すっげ〜やだ」

竜「同じく」

『これが無事に終わったら2週間もお休み貰えるんだよ?』


蘭「……1ヶ月の代償が2週間かよ」

『皆でどっか遠くに行ってみたいな』

竜「兄ちゃん、1ヶ月、Aが喜ぶ計画でも練ってよーぜ」

『竜ちゃん……』

蘭「……くそっ、早く終わらせて絶対戻れよ」

『うん!約束だよ』


玄関で2人と別れエレベーターまで走る。

1Fのボタン押し、少し泣いた。
今日まで当たり前のように毎日、毎秒隣にいた。
今日から1ヶ月彼らの姿を見ることは出来ない。


『あーあ、我慢したのに……うっ……ひっく……』


少しなら……今なら……。

またこのエレベーターに乗って、最上階まで上がって
ただいまって言うんだ。


決意を胸に冷酷な魔法をかける。




私の名前は瑠璃。
繁華街に迷い込んだ何も知らない子供。


竜ちゃんが結んでくれた少し下がり目のツインテールを揺らしながら
蘭ちゃんがくれた靴で駆け回る。



イヤリングに仕込んだ盗聴器のスイッチを入れトントンと、2度指の腹でつつく。




真っ白いスーツに身を包んだ50代前後の小太りの男。
頬に傷跡。大きなホクロが鼻横にあり
顎髭を伸ばしている……。


うん、あの男で間違いない。


『ターゲットを発見。接触する』


足のむく方向の路地からタイミングを図る。

今だ。



男目掛けて飛び出す。


男「!なんだ!!」

『きゃ……ごめんなさい!道に迷って……走り回っていたら……』


ターゲットは私を頭のてっぺんから足先まで吟味するように見る。


そしてニヤリと笑い、手を差し伸べてきた。

男「大丈夫かい?お嬢ちゃん。どっから来たんだい?おじさんが送ってあげよう」



(もしかして……チョロおじ……??)

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作者名:あみ | 作成日時:2021年9月19日 14時

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