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薄紫の灯火 ページ32






蘭ちゃんを残して車に戻ってどのくらいの時間が経っただろう。
長いようで短いようで
曖昧な感覚だけが脳を支配する。

答えの出ない不安感に胃の中を掻き乱されるような気持ち悪さに限界を感じた。


『竜ちゃん』

竜「ん、どした?どっか痛いか?」

『お父さんが、全部嘘だったって』

竜「……あぁ」

『竜ちゃん達も私に……』

竜「嘘じゃねぇよ」

『え』

竜「私への愛情も嘘じゃねーかって言いてぇんだろ?」

『……』

竜「それが不安でずっと黙ってんだろ」


図星を突かれて言葉が出ない。


竜「拾ったのも、傍に置いたのも気まぐれだった」


(やっぱり……)


竜「でも今はお前が泣くのも許さねぇ。傍に居ねぇのも、笑えねぇのも許さねぇ」

許さねぇ。そう言った竜ちゃんは奥歯をかみ締め苦い顔をした。

竜「俺が始末したかったって憤りを感じる位には俺も……怒ってる」

私が怖がらないように言葉を選んでくれたのだろう。
竜ちゃんの顔には怒りと困惑が入り交じったような色が交互に出ている。

『竜ちゃんも、蘭ちゃんも私から離れていかない……?』


竜「……」

何時もなら、当たり前だって返してくれるのに……。


竜「こんな仕事してる以上、絶対なんて言えねぇ。でも、1人には絶対しねぇ。俺らが……」


蘭「死んだ時は〜Aも一緒だかんな〜」


竜ちゃんが詰まった所にタイミングよく蘭ちゃんが戻ってくる。

『蘭ちゃん……!』

蘭「ん〜?Aお返事は〜?」

『その時は2人が私を連れてってくれるんでしょ……?』

蘭「当たり前だろ〜1発で仕留めてやるよ」

竜「兄ちゃんほんといい所ばっか取っていく……」

蘭「竜胆もそうだよな?」

竜「当たり前だろ。なんなら兄ちゃんより俺のが上手く仕留められっし」

蘭「竜胆は甘ちゃんだからな〜兄ちゃん心配だな〜」

『ぷ……あはは』

本当に……ふたりが好き。

竜「やっと笑った」

蘭「Aは泣いても可愛いけど、蘭ちゃん笑顔のが好きだな〜」

頭を撫でてくれる大きなふたつの手。
上半身殆どを刺青で埋めている体。
優しく垂れた目。
朝焼け色の瞳。


不安で出口の見えないトンネルを必死に走っていても
どれだけ怖くて恐怖のどん底にいても
何処で寂しくて震えていても

必ず見つけ出して手を引いてくれる。
大丈夫って優しく言ってくれる。
何からも守ってくれる。

私だけの強くてかっこいい王子様。

ロベリアの香りに包まれて→←鬼灯の愛(微グロ)



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作者名:あみ | 作成日時:2021年9月19日 14時

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