東京卍リベンジャーズ (ページ31)

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One for all ページ31

二年前、六月。

当時十二歳の場地は、同じく十二歳のマイキーを後ろに乗せてバイクを走らせていた。

「いいなー単車。これゴキだろ？」
「オウ！ぶっ壊れて捨ててあったのを地道に直したんだ。
オレのゴキが東京一だ！」

すると、同じく愛機に跨るドラケンが会話に入る。

「は？東京一？オレのゼファーは日本一だけど？」

「日本一とか聞き捨てならねぇなぁ。オレの『子猫ちゃん』は世界一だぞ？」

三ツ谷が『子猫ちゃん』と呼ぶのは自身の愛機であるインパルス。

「重力圏内で争うなよ。オレの『ロケット』は宇宙一だコラ」

三ツ谷に続いて一虎が加わる。

「お？毛ぇ生えたてのコゾー共が！！」
「テメェもな？」
「オレは小五からボーボーだ？」
「燃やしてチリ毛にしたろーか」

「くだらねー」
「オレのCBX400Fが最強だよー。そんな事言ってないでさー武蔵神社まで競走な？」

四人が言い合っていると、パーちんと葵のバイクがその間をあっさり走り抜けた。

「待て！ずりぃぞお前ら」
「テメェが正論言うなパー」
「上等だコラ」
「ビリが罰ゲームな！！？」

四人は抜け駆けした二人をブーイングしながら、その後を追いかける。

「やっと着いたー」
息切れしながら最下位で階段を登ってきたのは、眠るマイキーを背負う場地だった。

「ハイビリ」
「おっそ」

「しょうがねぇだろコイツ爆睡してんだぞ！？ずーっと」

他の三人は待ちくたびれていたのか、葵は退屈そうにタバコを咥え、ドラケンとパーちんはサッカーに興じていた。

「ん？着いた？」

マイキーが呑気に目を覚ます。

「みんなに話ってなんだよ？マイキー」

ドラケンが切り出した。

「ブラックドラゴンってチーム、知ってる？」
「メチャクチャヒデー奴らって噂は聞くよ」

ドラケンが答える。

「なんで相談しねーんだよカズトラ」
「！」

驚いた顔をした一虎にマイキーは言った。

「バジに聞いたよ。ブラックドラゴンと一人でやり合ってんだろ？」

「え？カズトラがブラックドラゴンと！？」
「またやべーとこに手ぇ出したな」

「確かにカズトラの地元ってブラックドラゴンの縄張りか…」
「なるほどね」

三ツ谷や葵が驚いて言ったが、パーちんの言葉にドラケンは納得しつつ、尋ねた。

「ブラックドラゴンとやり合う気か？マイキー」
「そっ。ブラックドラゴンはデケぇ族だ。やるからには大義名分が欲しい」

「オレに案がある」

そう言って進み出たのは場地だった。