橙色とWEST２ (ページ39)

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桃side

照史のために出来る事がわからへん。
どうすればええの。俺に出来る事ってなんなん？
照史、ごめん。

「俺に出来る事があったら言って。」

照史が振り返って頷く。辛いはずなのに笑って見せる顔が無理をしてるようにしか感じない。

黄「そういえば、今日歌番組やん。どうしよ、とりあえず口パクとか。」

「照史、どうする？今なら休めるで。スタッフさんに言えばなんとかしてくれるはずや」

照史は首を横に振った。
照史が口をパクパクさせて何か言いたそう。

「スマホ、貸して。」

渡されたスマホのメモアプリを出して照史に返した。
照史はすぐに言いたい事を画面に映し出す。

【ギリギリまで治るのを待ちたい。】

もちろんメンバー全員がOKした。
リハーサルまであと2時間。本番まであと5時間。
俺らに出来る事を照史のために。

「大丈夫や。俺らいつも一緒に頑張ってきたやん」

照史はさっきの無理した笑顔と違う笑顔をした。
泣きながら笑って、抱きついてきた。そんな照史が愛おしくて、抱きしめかえした。

「大丈夫や、みんな照史の事が大好きやから、離れたりせえへん」

抱きしめる力を強くして、頭を撫でる。
照史は、どんな気持ちかわからへんけど、わかる。
きっと寂しいはずで、抱きついてるんや。