天使の声29《29》 ページ29
デート当日、空は青々とした輝きを放っていた。
優しく地上を温める太陽、僕は待ち合わせ場所で彼女を待つ。
風は柔らかく吹き過ぎていく、ざわめく心を落ちつけようと必死になっていた。
彼女が歩いてくる、誰もが振り向く。
そんな光景を見ていると少しやきもちをやいてしまった。
彼女が近付きあの素敵な声で「おはようございます」と言うと僕はあまりの可愛らしさにお地蔵様のように固まってしまった。
「どうしました?」梨華さんが少し首をかしげた。
「いえ、なんでもありません、梨華さんがあまりにも可愛いのでフリーズしちゃいました」と正直に答えると「そんなことないですよ、行きましょうか」
「はい」と返事をし僕たちは水族館に向かった。電車を乗り継ぎ水族館前の駅で降りる。
水族館までの道、僕は車道側を歩くべく梨華さんの右隣に移ろうとするが、上手く移動できず肩と肩がぶつかってしまう。「すみません」と彼女に謝ると彼女は「どうしたんですか?」と言って首を傾けた。
僕は「車道側を歩こうと思いまして不慣れですみません」と謝る。
「ありがとうございます」といい、そんなに気を使わなくても大丈夫ですよ。
「すみません」
「また謝った」と言って梨華さんはクスッと笑った。
水族館の入り口で梨華さんがバックから二枚のチケットを取り出し入場した。
すぐに巨大水槽がありシャチが気持ち良さそうに泳いでいる、僕たちはしばらくの間シャチに見とれてしまっていた。
シャチを見ながら僕は彼女と手を繋ぎたいと思うが、まだ僕にはそんな勇気がない。
隣の水槽に移ると海亀が王様のようにゆっくり泳ぎ底では平らげな魚が何かを待っているかよのようにじっとしていた、小魚の群れは一斉に進行方向に向かって泳いでる。
その間僕は時間を気にしていた、イルカのショーの始まる時間を彼女に言うと見に行きましょうかと言う。
観客席はすでにいっぱいだったが後ろの方の空いてる席があり僕たちは座る。
「僕はイルカのショーを見るのは初めてです」
「私も初めてですよ」
ショーが始まり彼女は子供のようにはしゃいでる。イルカの素晴らしいパフォーマンスに彼女は拍手をし喜んだ。
そんな彼女の笑顔を見ると、イルカのショーより僕は彼女の横顔を見てる方が長かったとショーが終わってから思った。
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作者名:りたのすけ | 作成日時:2019年8月3日 19時