天使の声26《26》 ページ26
祐樹と葉子さんには何も伝えないでびっくりさせてやろうなんて思った約束の金曜日、待ち合わせ時間前に改札前に着くと白いフレーアースカートにグレーのボーダーカットソーを上手く着こなす彼女が歩いてきた、何度見てもお洒落で誰でもが振り向くぐらい素敵だ。
「お疲れさま、待ちました?」
「いえ、少し前に着きました」
「行きましょうか」
「はい」
祐樹と待ち合わせしてる店は梨華さんが降りる駅の近くなんですよ、祐樹、楽しい人です。
自分も彼女いないのに僕の面倒ばっかりみて、世話好きと言うか……僕はきっと祐樹と出会わなかったらあなたに声をかけれませんでした。
きっと昔のまま冴えないおじさんで終わってました、勇気を与えてくれた人です。
だから一番初めに祐樹にと思ってました、すみません、自分勝手で。
「大丈夫ですよ、祐樹さんもきっといい方なんでしょうね」
嬉しかった、梨華さんがそう言ってくれて。
駅に電車が着き二人揃ってホームに降り改札口を出て梨華さんの家とは反対方向に歩いて行く。
居酒屋さんの前で「ここです」と言う。
梨華さんが少しためらった気がしたが僕は扉を開ける。
「榎本君、いらっしゃい」その声と共に僕は店内に入り入った入り口で梨華さんに「どーぞ」と声をかけ梨華さんが店に入ってきたと同時に葉子さんが「梨華!」と言った。梨華さんは「おかあさん、来ちゃった」と言ってちょっと舌を出して微笑んだ。
何がなんだかわからない僕は入り口でフリーズしてしまっている。
キョトンとしている僕に「榎本君座って」と葉子さんの声が聞こえた。
ビールグラスを持ったままフリーズしていた祐樹と僕に小学生の頃、授業参観の日は必ず友達から「綺麗なお母さんだね」と言われる自慢の母だったんだよと話始めた。
葉子さん+梨華さん=親子
という方程式が僕の頭の中でできあがった。
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作者名:りたのすけ | 作成日時:2019年8月3日 19時