天使の声15《15》 ページ15
窓ガラスには雨粒がびっしりで夜の闇と街灯がぐちゃぐちゃににじんでいた。
明日は雨かな?電気を消し布団に入る。
僕は彼女と何を食べに行くか考えてる間に眠りに入ってしまってた。
朝起きて窓を開けると陽光が水溜まりに反射して眩しかった。雨が上がってよかった。
その日僕は仕事を終え大手町駅の飲食店が並ぶビルの方に歩いて行った。
勤める会社とは別方向でにぎやかな繁華街。
すれ違う人達は皆イキイキしてる。
38才、学生でないんだからそこそこの店を選ばないと…と思いながら目をキョロキョロさせて歩いた。
カラオケ屋さん、居酒屋さん、パスタ屋さん、雑貨屋さん……15分ぐらい歩いたところに少し感じのいい小料理屋があった。
外から白木のカウンターが見える。
店の外の看板を見てもそれほど高くない。
決めた、この店に。
食事をする店は決まったがひとつ大きな問題に直面する。当日駅からこの店までの時間、食事中、帰りの電車に乗ってる時間、これだけの長い時間何を話したらいいのかわからない。
名前と連絡先聞いてはい終わりではない、急に僕は不安なった。
食事する場所は決まったが僕には当日着ていく服の問題も彼女とする会話も何もかもが問題なのだ…ふと、葉子さんの言葉を思い出すした。
ありのままで背伸びしない……
一度きりで終わっても仕方ない、もう二度とあんなに素敵な人とデートすることはないかもしれないけど神様に任せるしかないと自分に言い聞かせ、ありのままの自分で彼女と食事することに決めた。そう決めたら少しは気が楽になった。
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作者名:りたのすけ | 作成日時:2019年8月3日 19時