天使の声13《13》 ページ13
翌日仕事終え自販機で買った珈琲を事務所で飲みながら時間を潰した。
大手町駅の改札を抜け入ってきた電車に乗る。
彼女はいない、僕はボーと電車の窓を見つめる、不審者でなく死人のような自分の顔が映り顔の後ろの景色は黒いカーテンのように真っ暗だった。
十数分、彼女の降りる駅に電車が着くとホームに純和風の清楚な感じの服が似合う女性が歩いてた!
「彼女だ!」
僕はあわてて電車を降り、彼女の後を追うように改札を出る。
彼女は昨日と同じように街灯のある道を髪をなびかせながら歩いていく。
僕は彼女の後ろを歩き、彼女との距離が少しずつ縮まっていく。スーツのポケットにはまだ祐樹メモが残ってる。
もう一度だけ声をかけよう、ダメなら諦めようと思い昨日と同じ場所、昨日と同じ街灯の丸い円の中で声をかけた。
「す、す…………すみません」
やっぱり昨日と同じだ、全身の血液が波打つ、足のガクガク手のブルブルは昨日以上に激しく身体中の体温が急上昇していく。
震える手で祐樹メモをポケットから取り出し
「君の笑顔を見るとスゲー幸せな気分になれるんだ、今度一緒に食事に行きませんか」
昨日同様、メモを見ながらの棒読みだった。
全身震えていた。
僕は下を向いたまま彼女からの返事を待った、やっぱりダメかぁ……
少しの沈黙の後、彼女が沈黙を破った
「いいですよ」
「…………」そのまま固まる俺。
私は昨日出会ったばかりの人がどうしてこんなに気になるのだろう?自分の中に芽生えた感情に戸惑いながらも、その意味が知りたくて「今度の土曜日6時に大手町駅の改札口前でいいですか?」と誘いをオーケーした。
「あっ、はい」声が裏返った。
彼女はクスッと笑い「じゃぁ」と言って歩いて行った。
今日の星は昨日よりも数十倍光輝いているように見えた。
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作者名:りたのすけ | 作成日時:2019年8月3日 19時