264話 ページ46
心操turn
「……！」
温かい。
第一に感じるものはそれだった。
他より少し高いAの体温は、俺の震えた手をいとも簡単に治める。
「最初に怖いって思ったのは私も一緒。
だから、無理に自分の中に収めることはしなくていいよ」
優しい声は恐れた恐怖を、握られた温もりは身体の恐怖を。
徐々に、少しずつ溶かしていく。
……ああ、それを感じるだけでも心地良い。
「……はは、ほんと……Aには丸わかりだな。
ありがと、治まったよ」
「ん、それなら良かった」
Aはそう言って俺の手を話す。
Aの気遣いには毎度感謝している。
だけど、違う。
A、違うんだよ……。
俺が心配して、恐れて、恐怖したのはそれだけじゃないんだ。
「……A」
「……！何？心操」
俺が呼べば、Aは口元を無意識に緩めてこちらを向く。そんな優しいAに、自然と涙腺が緩んでいく。
……なあ、A。
おまえは二度も敵と遭遇している。
一度は必然、一度は偶然。理由はなんだろうと、その度に居なくなるAを想像してしまい怖くて仕方がないんだよ。
Aは個性故に傷は残らない。
だが、心の傷は一生残り続ける。
後者のそれは、Aに限らずすべての人に共通する。それは、ずっと一人だった自分に手を差し伸べてくれた俺だって。
俺の、たった一人の心友。
失いたくない、消えてほしくないんだよ。
「心操……？」
「……お願い、だ……消えない、でっくれ……。
居なくっ……ならないでくれ……！」
この日常が終わるのは、心臓がはち切れるほど怖くて恐ろしい。そんな恐怖に耐えられなくなり、とうとう俺はぼろぼろ涙を溢してしまった。
俺は幼い頃からおまえの隣にいようと必死に走っている。本物の心友になれる為におまえの心を理解しようとしている。
だけどまだ……果たせていない。
だから、まだ俺の前を歩き続けてくれ。
太陽を失えば、世界は闇に呑まれる。俺はAを失えば黒へと染まってしまうんだ。
太陽はずっと、燃えていてほしい。
「……大丈夫、大丈夫だよ」
背中に揺らめく小さな温もり。
俺はぎこちなく撫でられた背の感触を噛み締めながら、恐怖と不安を吐き出すかのように声を殺して泣き続けた。
noturn
(……ごめんね)
(それは多分、無理かもしれない)
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夢桜(プロフ) - うららさん» そっそそそ尊敬だなんてそんな嬉しすぎますっ！！応援ありがとうございます精一杯頑張らせていただきます！！ (2020年9月23日 19時) (
レス) id: 505f8e7c76 (このIDを非表示/違反報告)
うらら(プロフ) - やばいです!!!悲しくてでも見たくなるそんな話ですね。ほんとに尊敬します！これからも応援しております！頑張ってください!!! (2020年9月23日 17時) (レス) id: e068332aca (このIDを非表示/違反報告)
夢桜(プロフ) - 猫好好さん» わぁぁありがとうございます好きになってもらってとても嬉しいです！！いやぁ大変おまたせしました、これからもこの作品をどうかよろしくお願いします！！応援とても嬉しいです……！ (2020年9月2日 18時) (レス) id: 505f8e7c76 (このIDを非表示/違反報告)
猫好好(プロフ) - 続編おめでとうございます！(*’ω’ﾉﾉﾞ☆ﾊﾟﾁﾊﾟ ﾁヒロアカ小説の中でもかなり好きな作品なので待ってました！これからも更新頑張ってください！！！応援してます！ (2020年9月2日 18時) (レス) id: 184bdcfa18 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：夢桜 | 作成日時：2020年9月2日 17時
