研磨と七瀬 ページ21
研磨side
僕が七瀬と初めて会ったのは中学生の頃
ちょうどバレーを辞めようと思っていた頃だった
その日は初めて部活をサボって河川でただ座っていた
日が暮れてそろそろ帰ろうと思った時僕の足下にボールが転がってきた
「あっ、ごめん」
僕の目の前にいた彼は背が高くて見かけない顔だった
「ううん、はいこれ」
「もしかしてバレー部?」
唐突に言われて少しビックリした
ジャージにだって学校名は書いてあってもバレー部とは書いてないし
「なんで分かるの?」
「うーん、なんとなく」
そう言ってクスッと笑った
「もっと言えば辞めようかなーとか思ってたりして」
彼は笑いながらこっちを見た
「なんで分かるの、僕はさっきから何も言ってないのに」
「うーん、なんとなくかな」
ほい!っと僕の前に彼がボールを投げた
「上手いじゃん!」
そのまま僕のパスを彼が続けてバレーを始めた
「なぁ!バレー好きか?」
少しずつ距離が離れお互いの声が遠く聞こえる
「ふつうかな」
「そっか、じゃあさバレーのチームメイトは好きか?」
その瞬間クロの顔が浮かんだ
「別に俺はチームで仲良しこよしってのは好きじゃないけど君はチームに大事な人がいるからここまで続けてこれたんじゃないの?」
彼の言葉とともに僕の足下にバレーボールが落ちた
"大事な人"
僕をバレーに誘った友達
もしバレーを辞めたらそれさえも失うかもしれない
本当はそれが一番嫌だったのかもしれない
「その人のためにバレーを続けてみるってのも悪くないんじゃない?」
「そうだね」
そう言って彼にボールを返した
その時自転車の音共に聴き慣れた声が聞こえた
「おい!研磨!どうせここらにいるんだろー」
部活終わりのクロだった
「ほら、お迎えがきたよ」
「うん、」
「じゃあまた!」
そのまま彼は僕に手を振って走っていた
「バイバイ!」
「うんバイバイ!」
この日から僕は彼に会うことは無かった
その後雑誌でたまたまあの時の彼の名前を知った
"七瀬A"
天才スパイカーとして特集を組まれていた
中学選抜に選ばれてプレーをしているのもよく見ていた
いつかまた会えるのではないか
いつか同じコートで戦えるのではないか
そんな期待を持っていた
だけど七瀬Aはバレー界から姿を消した
そして再び彼を見たのは高校のインターハイ予選
彼は無名の高校のバレー部でセッターとして出場していた
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ゆん(プロフ) - おもしろかったです🎵続きが気になります!更新頑張ってください! (2022年6月4日 14時) (レス) id: d0dd043faf (このIDを非表示/違反報告)
花 - 続きが気になります!頑張って下さい! (2021年5月1日 13時) (レス) id: 5a0f0dfb22 (このIDを非表示/違反報告)
いちごみるく(プロフ) - シバさん» コメントありがとうございます!これから更新頑張ります! (2020年10月29日 20時) (レス) id: 778f791615 (このIDを非表示/違反報告)
いちごみるく(プロフ) - 美咲さん» ありがとうございます!これからも読んでいただけると嬉しいです! (2020年10月29日 20時) (レス) id: 778f791615 (このIDを非表示/違反報告)
いちごみるく(プロフ) - のんさん» ありがとうございます!応援していただけてとても嬉しいです! (2020年10月29日 20時) (レス) id: 778f791615 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:いちごみるく | 作成日時:2020年3月30日 9時