あの子が幸せになるまでの記録。 (ページ10)

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その頃A#17はページ10

翔平 side

「"翔平、この子知ってる?クソ可愛くないか"」

練習試合後、クラブハウスで脚のケアをしていると、チームメイトに引き止められた。顔を上げると、白く光る液晶画面の中で笑うイケメンと目が合う。常人とは異なる眼光を放つ緑の瞳に、思わず、数秒目を奪われる。

「"───ん～…… 、誰?」

「"オレの彼女"」

「"嘘つけ、クレール選手でしょ笑。今ホットな"」

傍にいた一平さんが笑いながら返した。

「"嘘かよ、まあ確かに随分綺麗な顔だね。彼女、って事は女性?何かの選手なの?"」

「"おいおい、この前のＷ杯見なかったのか？『史上初の女性選手、二冠に輝く』 18歳の天才サッカー選手だよ"」

とトラウト。

「"ハンサムだけど可愛いよな、日本とのハーフらしい"」

「"ほーん……"」

18歳か、凄ぇーとは思うものの、サッカー、つまり野球以外のスポーツにはあまり興味を持てない。割とどうでもいい。

興味を無くした俺から離れ、4、5人でわちゃわちゃと話し始めた。彼女にしたいとか、SNSはやってないのか、とか。
アンタらの中に、妻子持ちいるだろ。

「興味無いな～笑、…あ、そう言えば新しいCMの依頼来てたから、後で確認しよう。メールで詳しく伝える」

「うぃーー、了解っす。あと俺今日車で来てないから一平さん乗せて」

「はいはい」

もう慣れた、とでも言うように手をヒラヒラさせながら車の鍵を取り出す一平さん。

「やっぱ持つべきものは利用しやすい大人だよなー、ね～」

「うぜー笑、帰るんでしょ、立ちなさい」

「へい」

ソファでゴロゴロしていた重たい身体を持ち上げ、

「"インスタも何もやってない！！！！"」

と言うチームメイト達の悲痛な叫びを背中に浴び、苦笑しながら球場を後にした。