検索窓
今日:10 hit、昨日:13 hit、合計:14,034 hit

愛してるよ、いつまでも ページ2

日々のヤク使用による震えを抑えながら、いつの物かも分からない新聞を破り、妹の住所を書く。



ロクな人生じゃなかった、と今になり思う。
親父はドラッグの売人、母は組織の男共を相手する娼婦。俺も当たり前のようにドラッグに染った。刑務所に入ったのが転機となり、価値観を広げようと貧乏旅行に出た。

旅中に出会った日本から来たとかいう女性に惚れ、フランスに帰ったのはいいものの、昔の仲間に出くわした。






人間は、いつまでも変わらない、変われない。
ドラッグから俺はまだ抜け出せておらず、身体があの朦朧とした幸せを求めていた。家に帰り酒を求め物にあたった。

そして抗争に巻き込まれ、このザマ。





こんなどうしようもない俺でも。家族を、愛していた。ボスが家族を襲撃すると告知した時、なぶり殺されるくらいなら、せめて自分の手で、と思った。

目を合わせないよう息子達の胸に銃を当て、放つ。苦悶を浮かべる彼らに、パパもすぐいく、と涙ながら囁く。



最後はあの子か、と立ち上がる。寝室から首を傾げ歩いてきたAの、澄んだ緑の眼を見た。眼が合った瞬間、無理だ、殺せないと感じた。






小さな手に、紙を渡す。

周りには言えなかった、俺の夢と共に。




丸い、小さな頭にキスを落とした。






男共に、頭を掴まれ、床に押さえ付けられる。小さな後ろ姿を目で追っていると、Aは振り返り、なんで来ないんだろう、と思っているのだろうか、不思議そうに見た。
そして窓から外へ、消えていく。




妹の住所を書き、ここへ行けとも書いた。俺に似ず、聡いあの子の事だ、きっと誰かに聞くのだろう。


















ああ、可愛い、俺の宝物。



生き延びてくれ。生きてくれさえすれば。



あわよくば、誰よりも幸せに。



どうか神様、あの子を守って下さい。



天使よ、あの子を、愛して下さい。



















愛してるよ、いつまでも。











男が、引き金を引いた。

※→←その夜、全てを失った



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.8/10 (32 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
176人がお気に入り
設定タグ:大谷翔平 , サッカー , PSG
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

テヤンデェ黙っとれおんどりゃあ(プロフ) - コバさん» ゥ゛ゥ゛ウ゛(振動)コメントありがとうございます😭アイラブユーです (1月13日 21時) (レス) id: b537d61366 (このIDを非表示/違反報告)
コバ - 一言で言うと好きです、、 (1月13日 19時) (レス) id: e88cbb1189 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:テヤンデェ黙っとれおんどりゃあ | 作成日時:2024年1月7日 13時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。