【WT】硝子の靴は捨てた (ページ5)

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人間って醜いねページ5

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最上宗一が亡くなった。
最上を敬愛していた迅は大きく泣いていた。
蓮月は呆然と黒(ブラック)トリガーと成り果てた最上を見つめることしか出来なかった。

最上の遺書からは迅と蓮月のサイドエフェクトについて書かれていた。二人が未来を視ることができること。その中で迅は多くの未来を視ることができ、蓮月は未来以外にも過去や人の心も読めることなど。

これから先二人が幸せに暮らせるように。
どうか守ってほしいと最上の遺書には書かれていた。

▼▽▼

二人には視えていた。
最上が近界民同盟国の為に参戦した戦争で亡くなって黒(ブラック)トリガーになることを。だが、それは最上に伝えなかった。伝えたとしても最上が亡くなる未来しか選択肢がなかったからだ。

「A。お前はどうすんの？」
「戦うよ。だって最上さんに沢山の人を救けろって言われたもん。そういう迅くんは？」
「俺も戦うよ。この先の未来のためにも」

今は亡き最上の部屋に二人は手を繋いで壁際に座り込んでいた。この先の未来を語り合って。

▼▽▼

それから一年後、近界民(ネイバー)による大規模一次侵攻あった。こちらと異なる技術(テクノロジー)を持つ近界民(ネイバー)には地球上の兵器の効果も薄く、都市への壊滅も時間の問題だと思ったが、『ボーダー』という組織が街を守った。

しかし、2000人以上の死者、400人以上の行方不明者、そして東三門の壊滅と被害は大きく、家族や住む家を失った住民たちや報道機関からバッシングも受けた。

「人間(ヒト)って醜いね」

蓮月は瓦礫の山の前でポツリと呟いた。
それは誰にも返ってくるはずもない返事だというのに。

瓦礫の山に進めば写真を一枚発見する。その写真を一枚拾い上げると、蓮月が入園式に撮ったときの家族写真だった。