【WT】硝子の靴は捨てた (ページ13)

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「お前一人じゃ任せられん」
「じゃあ風間さんも一緒に寝る？」
「当たり前だ」
「二人とも、18時までには蓮月起こせよ。それから飯に行くから」
「東さん俺も回らない寿司行きたい」
「お前の自費ならいいぞ」

蓮月抜きでの妙な会話に蓮月は首を傾げるばかり。そして東たちに別れを告げてから仮眠室に向かった。
一つのベッドを二つにに繋げてダブルの大きさのベッドと変わる。蓮月を真ん中に風間と太刀川が挟むように寝転んだ。

「……何ですかこれ」
「お前甘やかす日だから一緒に寝る」
「……風間さん？」
「早く寝ろ。俺たち以外誰もいないから安心しろ」

風間は蓮月の瞼の上に手を覆う。寝なきゃいけないのか……と諦めて目を瞑ると真っ暗となる視界に脳内にあの時の光景が浮かぶ。怖くなって目が開けるも目の前には優しい顔した風間がいた。

「大丈夫だ。ここにはお前が思う怖いものはない」

蓮月は顔を逸らす。そして風間の服を掴んで再度目を瞑る。風間は小さい子どもを寝かしつけるように背中を優しく叩いていると寝息が聞こえた。如何やら蓮月は眠りに落ちたらしい。

「やっと寝たか」
「俺がAを寝かせつけたかった」
「次の遠征から帰ってきたらやればいいだろ」

そんな会話をしていると、蓮月は寝返りをし太刀川の方へ向く。穏やかな寝顔には目の下にくまがある。太刀川は起こさないように蓮月の頭を撫でた。

蓮月が遠征先で人を殺したというのは、玉狛や上層部の他、冬島、東、太刀川、風間にも耳をした。迅の未来視(サイドエフェクト)では小南が亡くなる未来があった。それを蓮月の千里眼(サイドエフェクト)でお陰で救えたので善い未来へと進めれた。

結果的には良いかもしれないが、故意とはないとはいえ齢14の少女が人を殺したのだ。精神状態に異常はきたすと思っていた。しかし帰ってきた蓮月は正常通り(いつもどおり)。それどころか次の遠征にも自ら志願して行くと申し出たのだ。

今回の遠征で玉狛第一は大きな功績を出している。ここで一人失えば痛手となるので蓮月を失いたくはない。蓮月の意思に甘え、次回の遠征には蓮月を送り出すと上は決定した。

蓮月が何を思っているのかなんて本人しか知らない。だけど、少しでも蓮月が安心して過ごせるように太刀川と風間は遠征に行った蓮月をとびっきり甘やかそうと決めたのだ。