【WT】硝子の靴は捨てた (ページ12)

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甘やかしに来たページ12

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蓮月たちが遠征に行ってから2週間が経つ。また1ヶ月後には遠征に出ることとなり、蓮月は新しく使い始めた狙撃の練習でボーダー基地に来たのだが。

「太刀川さん何ですか」
「お前を甘やかしに来た」
「……風間さん説明を」
「太刀川の言葉の通りだ」

訓練所に向かう途中太刀川と風間に出会い、そして二人に食堂まで連行された。突然の事に蓮月は混乱するも太刀川と風間は食堂でカツカレーやハンバーグ定食を買ってきて蓮月の口に運ぼうとする。太刀川だけならまだしも冷静沈着な風間までが太刀川と同じ行動をするのだ。

「口開けろ」
「……」

蓮月に有無を言わせない。渋々蓮月は口を開けると、太刀川は蓮月の口の中へ一口サイズのハンバークを運ぶ。ゆっくりと咀嚼して飲み込んだら今度は風間がカレーを持ってくる。しかもカツ付きだ。さっきよりも大きく口を開けると、風間は押し込むように蓮月の口の中へ運ぶ。それが食べ終わるまでずっと続いた。

「何しているんだ？」

今度は冬島と東が現れた。「助けてください」と蓮月は声を上げるも「今コイツを風間さんと甘やかしているんですよ」と太刀川が言うと二人は「ほぉ。それは良いな」と前の席に座る。

「蓮月。この後回らない寿司でも食べに行くか」
「いや、いいですよ。東さん回らない寿司なんて、」
「今日は蓮月甘やかす日なんだろ？」
「あー。A悪い。今、キャラメルしか持ってねぇや」
　

冬島はポケットから箱のキャラメルを出す。紙包を開けて蓮月の口の元へ持っていくと「あー」と蓮月は諦めて口を開く。

「小鳥の餌付けみたいで可愛いな」
「東さんが言うとなんか怖い」

ニコニコと笑顔の東に太刀川は少し引き気味だ。そんな二人に対して蓮月の隣に座ってる風間は蓮月の頭を撫で続ける。「やめてください」「今日はお前を存分に甘やかす日だ。諦めろ」とバッサリ返された。

「A何か欲しいもんあるか？」
「いや、別にありませんけど」
「今流行りのトイッチ？だっけか。あれいらねぇか？あれぐらい俺が買ってやるぞ」
「ゲームしません」
「そ、そうか……。じゃあ……」

冬島からは親戚のおじさんみたいに何が欲しいものないか？と聞いてくる。何なんだこれは。困り果てた蓮月に追い打ちをかけるように太刀川はこう言った。

「じゃ仮眠室で寝るか」

ぐいっと太刀川に立たされたと思えば担ぎ上げられた。所謂俵担ぎってやつだ。