【WT】硝子の靴は捨てた (ページ21)

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コンマ数秒の間に私に2つの選択肢が与えられる。
イーグレットに変えて至近距離で撃ち抜くか、孤月を抜いて旋空を飛ばすか。当てる確率が高いのは後者だが、抜くのにタイムロスが起きる。それなら前者の方が早い。外したとしても隙は作れる。

黒(ブラック)トリガーが佐竹くんを狙う。私はイーグレットを取り出して照準を頭部に狙って撃つ。ほんの少し黒(ブラック)トリガーの頭部にズレた。映像が流れる。黒(ブラック)トリガーは斜線が佐竹くんから外れた。だが、あの盾から出る無数の棘が佐竹くんを突き刺す。そして最後には銃弾2発。私は走り出して佐竹くんの前に立つ。佐竹くんに放たれた銃弾をシールドで防ぐ。そして無数の棘が私に向かう。さっきよりも棘の数が多い。

「あっ、これは無理」

視えていても回避は不可能。ここか、迅くんが言ってた私が死ぬところ。呆気なく死ぬんだなぁ、と小さく笑みを溢す。

「A！」

名前を呼ばれた。振り返る間もなく、私はぐいっと後ろへ投げ飛ばされる。そして刺さる音。何故か、佐竹くんの身体に無数の棘が突き刺さっていた。そして換装体が解けてから私を庇うように抱き締めて囁いた。

「こんなとこで死ぬんじゃねえよバーカ」

佐竹くんが微笑った。銃声音が二発。ぴちゃりと私の顔に血飛沫が飛ぶ。ずるずると地面に倒れ込む佐竹くんから血特有の鉄の匂いがする。黒(ブラック)トリガーが小さく舌打ちをし、私に銃口を向ける。私は足からスコーピオンを出して相手の足元に突き刺す。突如の事に吃驚している黒(ブラック)トリガーに掌拳を顎に叩き込む。そしてスコーピオンで喉から頭まで穿いた。ぴしりと罅が割れて換装体が解ける。中には私と同じくらいの女の子だった。

「殺すなら早く殺せ！」

女の子は発狂した。私は黙ったまま孤月を取り出して女の子の首筋に当てた。

「どうして私を置いていくのかな」
「は？急にな、」

女の子の首が飛ぶ。ごろりと地面へ転がる。顔についた血飛沫を手で拭ってから私はその場で座り込んでから呟いた。

「今回は三人か。きっと私が死ぬ時は地獄だ」

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