【WT】硝子の靴は捨てた (ページ16)

今日:1 hit、昨日:9 hit、合計:14,702 hit

井口隊ページ16

･

手で数え切れないぐらい遠征に行った。その間にA級に上がった部隊(チーム)も増えては解散する部隊(チーム)がいた。解散して辞める隊員もいたがフリーとしてA級に残っている隊員もいる。上層部はそんなフリーのA級隊員を集めて部隊(チーム)を作った。

A級3位の井口隊。寄せ集めの部隊(チーム)であるものも隊長の井口さんの指揮の元、攻撃手(アタッカー)の藍原先輩と射手(シューター)の佐竹くんのコンビネーションであっという間に上位に上がっていた。その井口隊が遠征部隊へ。

本部からでは初めての遠征部隊だ。そのお目付け役として私が選ばれた。まぁ、桐絵は感覚派で人に教えるのなんて苦手だし、レイジさんも東さんと一緒に他の隊員に狙撃手(スナイパー)の指導に入っているから私しかいないのだけど。

「蓮月。次の遠征についてだが、」
「井口さん。次の遠征は終戦国のトリガー鹵獲ですよ」
「だが、想定外の事も考えて……」

狙撃手(スナイパー)の訓練後、ラウンジで休憩していると井口さんが心配そうな顔で訊ねてきた。次の遠征は井口隊の初めての遠征もあり、終戦国のトリガー鹵獲で今までの遠征で比べると危険度は低い。

「大丈夫ですよ。何か合ったら私が皆さんを守ります」
「歳下のお前にそんな言葉を掛けてもらうなんて俺はまだまだだな」
「遠征では私の方が先輩ですから」

では、と私はラウンジから立ち去ると今度は藍原先輩と佐竹くんに出会った。次の遠征に向けて二人で個人(ソロ)ランク戦やっていたらしい。

「蓮月、俺の練習に付き合ってくれよ」
「嫌ですよ。藍原先輩のランク戦って太刀川さんみたいで面倒くさい」
「おっ。太刀川先輩に似てる俺？それめっちゃ嬉しい」
「褒めてませんから……」

ニカッと爽やかな笑顔を浮かべている藍原先輩。

「はーづーきー。おーれーもーランク戦ー！」
「……あそこに二宮さんいるから二宮さん誘えば？」
「はぁ！？お前、鬼か！？二宮さんにランク戦なんか誘えねぇよ！」
「私はこの前誘ったらしてくれたよ」
「お前は怖いもの知らずだからできるんだよなぁ」

私の肩に腕を回してやれやれと肩を竦める佐竹くん。このまま絡み続けられる未来が視える。

「蓮月やってくれねえの？」
「……二人とも一戦だけね」
「よっしゃ！佐竹じゃんけんで先行決めるぞ！」
「あいよー。藍原パイセンいくぜー」

諦めて二人のランク戦に付き合った。私の勝ちで。