それは不可 其ノ肆 ページ6
俺は彼女を好いている
其れこそ、此の身に生まれ、初めて抱く感情だった
黒く美しい艶のある髪に
何処かで見た宇宙の様な美しい瞳に
優しいその声色に、彼女の全てに
一目で俺は惹かれたのだ
然しながら
刀剣男士と審神者との恋愛は好ましく思われず、一部の者は「業務や戦に支障が出る」「主従関係に色恋沙汰は不要」等と申している
そんな物は重々承知している。ましてや俺は元と言えど政府にいた身だ。散々言われてきたものだ
けど、それでも俺は彼女を好いてしまった
彼女を見る度に締め付けられるようなこの心の臓の痛み
彼女に触れたいと逸るこの気持ち
これを恋と呼ばなければ、なんと言う名前なのだ
.
「長義くんは月みたいだねぇ」
ふとした時に彼女はそう零した
もう覚えていないかもしれない。けれど、俺にとっては彼女の一言一言が特別だった
「とても綺麗な、月」
「それは光栄だね。でもどうしてそう思ったのかな?」
「どうしてって…えー、何でだろ、長義くんをみたとき「あ!!!月みたいにめっちゃ綺麗!!」って思ったから?」
「はは、それはどうも。御礼に抱き締めて…」
「さーーーーーて!!!残りの書類も片付けよっかな!!!!!」
彼女は案外恥ずかしがり屋だ
少し口説くだけで、白い肌が赤く染まる
少し触れただけで、体が緊張で震えている
それが何だか、無性に愛おしくて
「やっぱり君が好きだよ」
「へァっ!!!??なに急に!!!??ッア!!??墨こぼした!!!」
目に見える動揺、赤い顔、泳ぐ目線
嗚呼、どれも愛おしい
故に
手に入れたくなる
この手で、彼女を暴きたい
そうすれば、どんな表情をするのだろうか
「…長義くん?」
「……え、あ」
「どうしたの、急に静かになったからびっくりしたけど…あ、長義くんのせいで零した墨をどうしようか考えてくれてたの?ありがとー、今月ピンチだったから買ってくれると助かる」
「いや君が望むなら幾らでも買ってあげられるんだけどな」
「気持ちは嬉しいけど墨は何個も要らないかな」
しまった
考え過ぎていた。そこまで親密な仲とも言えないというのに
「…ごめんね」
「えっ?墨の件?もういいよー、万屋今なら開いてるし、買いに行こうか」
「…そうだね」
立ち上がり、部屋を去る彼女の後ろ姿を眺める
(あぁ、でも、そんな仲になれたのならどれだけ幸せか)
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央花(プロフ) - この本丸の長義くん可愛い。 (2019年8月12日 10時) (レス) id: b4380a4d63 (このIDを非表示/違反報告)
鈴松信@誤字り@怨恨ヴィーゲンリート神じゃね?(プロフ) - ああああああ!?!?まって、推しのちょぎが可愛い!?いや元も可愛いんだけど!?ちょ、まじでありがとうございます…! (2019年4月29日 8時) (レス) id: e085487720 (このIDを非表示/違反報告)
rilu - ここの長義君好き…もちろん原作の長義君も好きだけどな? (2019年4月26日 17時) (レス) id: d32ce14729 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:兎茅瑚 | 作成日時:2019年4月25日 21時